
マイ・ミトゥーリチの挿絵、代表的10作品(写真特集)
ソ連の子供達はミトゥーリチの描くキャラクターを見て育った
マイ・ミトゥーリチ=フレーブニコフは1925年、モスクワに生まれた。両親ともに画家で、母親のヴェーラ・フレーブニコワは、「銀の時代」の詩人ヴェリミール・フレーブニコフの妹である。
17歳で第二次世界大戦に従軍し、そのまま終戦をベルリンで迎えた。軍では、従軍画家の部隊に所属した。
戦後はモスクワ印刷大学を卒業し、プロの画家となる。現在、ミトゥーリチの作品はトレチャコフ美術館、ロシア美術館、プーシキン美術館など、国内の有名美術館に収蔵されている。モスクワの古生物学博物館には、彼の手による大壁画もある。
2005年、ミトゥーリチは日本の民話シリーズの挿絵を手掛けたことを高く評価され、旭日小綬章が贈られた。繊細な線画家でもあり、抒情的な風景画や、ポートレートも描いている。
しかし何といっても、ミトゥーリチの代名詞といえば児童書の挿絵だった。キップリングの『ジャングル・ブック』、コルネイ・チュコフスキーやサムイル・マルシャークの童話など、ソ連の子供たちが親しんできた数多くの児童文学の挿絵は、ミトゥーリチの豊かな想像力の産物であった。そのうちの何点かを見てみよう。
1.コルネイ・チュコフスキー『おしゃべりはえの子ぶんぶんこちゃん』シリーズの挿絵より、1986年(『Нынче Муха-Цокотуха именинница!』)

2.シア・カーンの死、ラドヤード・キップリングの
『ジャングル・ブック』の挿絵より、1972年

3.ホメロスの『オデュッセイア』より、ピュロスを去るテーレマコスとペイシストラトス、1978~1981年

4.ルイス・キャロル『不思議の国のアリス』の挿絵より、1977年

5.セルゲイ・アクサーコフ『赤い花と美しい娘と怪物の物語』(『Аленький цветочек』)の挿絵より、1986年

6.コルネイ・チュコフスキー『バルマレイ』(『Бармалей』)
の挿絵より、1969年

7.サムイル・マルシャーク『黄金の車輪』(『Золотое колесо』)
より、『ある部屋の住人』(『Жили в квартире...』)の挿絵、1976年

8.アグニヤ・バルト『子供たちのための誌』(『Стихи для детей』)の挿絵より、1986年

9.コルネイ・チュコフスキー『ごきぶり大王』(『Тараканище』)の挿絵より、1970年

10.ゲンナジー・スネギリョフ『ペンギンについて』(『Про пингвинов』)より、『ペンギンの行進』(『Шествие пингвинов』)の挿絵、1963年

2025年5月30日から10月12日まで、ミトゥーリチ生誕100周年記念展「マイ・ミトゥーリチ 歓喜の岬」がクリムスキー・ヴァルのトレチャコフ美術館新館で開催中。