「火の鳥」とは何者か? なぜ誰もが手に入れたがるのか?
ロシアの童話に登場する「火の鳥」は、その名のとおり、光り輝く神秘の存在。一枚の羽で暗い部屋を照らし、羽毛からは熱を放つ。
黄金の尾を持ち、黄金の檻に住むこの鳥は、異世界「はるか遠くの王国」の象徴でもある。
火の鳥は、物語の中心にいながらも、主役になることは稀だ。多くの童話では、王の命令でイヴァン王子が火の鳥を探す旅に出る形で登場する。火の鳥は目的そのものであり、勇気や知恵、優しさを試す試練の象徴である。
一部の研究者は、火の鳥と不死鳥(フェニックス)との類似性を指摘する。どちらも炎の中に生きる存在であるが、不死鳥が「死と再生」を繰り返す循環的な存在であるのに対し、火の鳥は「永遠の命」と「消えることのない光」を体現すると考えられている。