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ロシア民話に題材をとったブロック玩具が発売
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異例のブロック玩具シリーズのアイディアは、アーティストでアニメーターのアルチョム・ビジャエフを中心に生まれた。ビジャエフはこれまでも玩具のコンセプトモデルを製作していた他、Legoの開発にも参画していたが、そのアイディアは実現していなかった。ロシアのBrick Labs社がアイディアを採用したことで、ようやく発売に至ったのである。
「バーバ・ヤガー」
ロシアを代表する魔女バーバ・ヤガー(ヤガー婆さん)と、ニワトリの足が生えた彼女の小屋がセットになっている。バーバ・ヤガーは物語世界では森に棲み、生者と死者の世界の境界を守っている。
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バーバ・ヤガーの小屋に入るには、「小屋よ小屋よ、正面を私に向けて、森に背を向けよ」と呪文を唱える必要がある。中には、「足が骨と化し」、巨大な鼻を持つ老婆がいる。
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モチーフの一つは、1963年のソ連映画『モロスコ』に登場するバーバ・ヤガーだ。この映画では、彼女の役は男性のゲオルギー・ミリャルが演じている。
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「モロスコ」
同名のおとぎ話では、ヒロインのナスチェンカがロシアの冬の精霊モロスコに出会い、森で凍死しかけたところを救われる(ナスチェンカは邪悪な継母と義理の妹に森に連れて行かれた)。
ブロック玩具はヒロインと、3頭の馬が引く馬橇、そして冬の精霊の巨大な氷の宮殿から成る。
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「降誕祭の前夜」
ロシアの文豪ニコライ・ゴーゴリ原作の同名の小説からインスピレーションを得たこのセットは、主人公ワクーラとその恋人オクサーナの家を再現している。屋根の上に立つ陽気な悪魔は、ワクーラがオクサーナを口説くために「女帝の履くような靴」を入手するのを手伝った。
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「カワカマスの命ずるままに」
モチーフは、願いを叶えてくれるカワカマスを偶然捕まえたエメーリャの有名な民話だ。家と釣り穴、そしてかの名高い「自走かまど」が揃ったセットで、キャラクターはエメーリャ、皇帝、皇后、家猫が付属している。
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「ルスランと豪傑の大頭」
アレクサンドル・プーシキンの『ルスランとリュドミーラ』に題材をとったセットである。騎士ルスランが、誘拐された花嫁リュドミーラを奪還する苦難の道中、斬られてなお生きている巨大な頭に出会ったシーンを再現している。作中では両者が一戦交えるが、このセットでは互いを凝視したまま、対決には踏み出せないようだ。
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「不死身のコシチェイ」
ロシア民話の古典的悪役の一人が、不死身のコシチェイだ。若く美しい娘たちを騙してさらう、醜い老人だ。登場するおとぎ話は、『カエルの王女』、『マリヤ・モレヴナ』、『不死身のコシチェイ』といった有名どころの他、アレクサンドル・プーシキンの長編詩『ルスランとリュドミーラ』がある。
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このセットでは、玉座に座ったコシチェイが自らの「死」を守っている(コシチェイは、自らの「死」を厳重に隠しているために不死身であるとされる)場面が再現されている。
「我が死は遠い場所にある。海には島があり、島には樫の木があり、その木の根元に箱があり、箱の中にウサギがいて、ウサギの中にアヒルがいて、アヒルの中に卵があり、その卵の中が、我が死だ」というわけだ。
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「せむしの子馬」
ロシアの作家ピョートル・エルショーフの同名の作品がモチーフのセットで、作中の重要なシーンを再現している。王の庭に三つの大釜があり、一つは冷水、もう一つは湯、三つ目は煮立ったミルクで満たされている。伝説によれば、三つの大釜に浸かれば若返るという。
老いた王は、ことにこの伝説に関心があった。若く美しい姫が、王の老齢を理由に、妃になろうとしないからだ。王はこの不思議な手順を、まずは百姓のイワンの馬鹿に試すよう命じた。イワンは、信頼できる仲間である魔法のせむしの子馬の助力に期待し、この試みに挑戦する。
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