
ロシアでの休暇におすすめの島5選

1.キジ島
オネガ湖の北側に位置するキジ島までは、ペトロザヴォーツク市から行ける。5月から10月にかけてはフェリーか高速船、11月から4月はホバークラフトが運行している。1時間ちょっとの行程で、北ロシアの宝ともいえる場所にたどり着く。キジ島を訪れる人の目的は、もちろん、ユネスコ世界遺産に登録されている木造教会だ。島で最も古い教会は、16世紀初頭に建てられたプレオブラジェンスカヤ教会。地元の職人が釘を一切用いず、一本の斧だけを使って完成させた傑作建築である。

キジ島は野外博物館だ。1960年代、まずは付近の島々から、その後はカレリア各地から木造建築がキジ島に移築された。したがってキジ島をぐるっと周れば、北ロシア全体の歴史を見られる。近隣のヤムカ村とワシリエヴォ村まで徒歩でも行けるが、力をセーブしたい場合は馬車を使うという手もある。また、プレオブラジェンスカヤ教会の近くの鐘楼の展望台に上がれば、キジ島の風景を高所から一望できる。

美しい木造建築を一通り見たら、次はオネガ湖の散策がおすすめ。あるいは、カリートキ(ライ麦を使ったオープン・パイ)やロヒケイット(クリーム入りの赤身魚のスープ)に代表されるカレリア料理を楽しむのも良いだろう。お土産には地元名産のホロムイイチゴのジャムがベスト。もう少しキジ島に留まりたいなら、ヤムカ村のアニーキン・ハウスか、木造教会群の向かいにあるゴーゴレフスキー・ハウスで一泊できる。
2.サハリン島
サハリン島までは、まるで最果てへの旅のようだ。このロシア最大の島とモスクワの距離は、6649km。サハリン島を訪れる旅行者にはアクティビティの愛好家が多い。オホーツク海と日本海、2つの海で泳げる他、ダギンスキエ温泉に浸かり、サップボードに乗って水上から景色を楽しみ、サーフィンに挑戦するなど、楽しみは多い。また、釣り好きにとってもサハリンは垂涎のスポットで、釣果を求めて川や湖、そしてカラフトマスやメバルが豊富なタタール海峡へ繰り出していくのである。

グルメ旅行愛好者がサハリンを訪れる目的は、やはり新鮮な魚介と、独自色の強い地元料理だ。特におススメなのが、魚介と蕪などの野菜を煮込んだスープのヘムリタン、ピャチミヌトカと呼ばれる獲れたてのイクラ、サーモンやギンザケやベニザケなどの赤身魚、エゾバイ貝のグリル、ワラビの若芽やラムソンのおつまみ等だ。

サハリンでの宿泊は、州都のユジノサハリンスクがベストだろう。島内の様々なスポットを訪れるにも、ここを起点にするのが便利だ。廃墟のアニワ灯台、塩水のブッセ湖、奇岩の多いヴェリカン岬、ネヴェリスクのトドの群棲地、風光明媚なティハヤ湾など、見どころは多い。
3.コトリン島
この島には、上陸したことに気付かないかもしれない。サンクト・ペテルブルグの環状道路を車で走っていると、急に目の前に海と古い堡塁が姿を現す。これが、ペテルブルグの最も遠隔な街、クロンシュタットのあるコトリン島だ。

ここは全てが海を中心に動いている。それもそのはず、この街はバルト海方面からペテルブルグを防衛するために建設されたのだ。クロンシュタットはバルチック艦隊が生まれた場所であり、ロシア初の砕氷船が進水した場所でもある。必ず訪れたい場所は、抜群の音響を誇る美しい「海のニコリスキー大聖堂」。ここからは徒歩でクロンシュタット散歩をスタートするのに丁度いい。ペトロフスキー・ドック、埠頭、木造灯台などを巡り、海上灯台からはクロンシュタットの堡塁を見渡せる。
海軍栄光博物館は、ロシア海軍の歴史を学べる場所だ。目玉展示は、ソ連初の原子力潜水艦K-3「レーニンスキー・コムソモール」の実物だ。博物館の建物は、全長107mの同艦を収納できるように設計されている。博物館の展望台からは、ロシア艦隊初のバルト海の防衛施設であるクロンシュロット堡塁が一望できる。

クロンシュタットにもう少し滞在したい場合は、陸のホテル以外に、海上の宿泊施設もある。例えば、コンスタンチン堡塁に係留されている浮桟橋上のホテルだ。
4.オリホン島

バイカル湖最大にして、最も謎めいた島が、オリホン島である。ここには、有名なシャマンカ岩(シャーマンロック)がある。その昔、シャーマンたちがこの岩で儀式を行ってきたと考えられている。また、岬にあるトンネル状の洞窟にはブリヤートの最高神ブルハンが棲んでいたとされる。コブィリヤ・ゴロワ岬、メチタ洞窟、謎めいた「バイカルの守護者像」が置かれているウズルィ峡谷、「愛の崖」など、島の各所に絵葉書さながらの美しくユニークな光景が広がっている。

島内のルートの殆どは、島で最も大きいフジル村から始まる。ゲストハウスの多くも、この村にある。隣のマールイ・フジル村では、ブリヤートの村の暮らしをより良く知ることができる。ブリヤートのペリメニであるボーズと、生のオームリとタマネギで作るサグダイは是非とも召し上がって欲しい。
5.スヴィヤシュスク島
過去へようこそ。この島には、あたかも16世紀へのタイムホールが開いているかのようだ。カザン遠征から帰還途中のイワン雷帝は、スヴィヤガ川、シュカ川、ヴォルガ川の合流する地点の砂州に注目した。このような戦略上の要衝を利用しないのはもったいないと、雷帝はここに要塞の建設を命じた。正確には、ウグリチから解体された状態で要塞を水上に浮かべて運んできた。1957年にクイビシェフ貯水池が完成すると、スヴィヤシュスクは陸地から切り離され、島になった。

ここにはユネスコ世界遺産にも指定されている、470年前に建立された生神女就寝大聖堂がある。大聖堂の聖物の1つが、世界の創造と人類の出現を初めて描いた16世紀のフレスコ画である。また、犬の顔をした聖クリストフォロスという、かなり珍しい画もある。聖預言者イオアン修道院に残る三位一体教会は、カザン攻略前にイワン雷帝がここで祈ったという伝承がある。

スヴィヤシュスクは、景色を楽しみながら徒歩で周れる。歴史体験施設レニーヴイ・トルジョクでは中世の街の雰囲気に浸れるのが魅力で、ここならではのお土産もある。1日あれば周れるが、島にはホテルも数軒あるので、ゆっくり時間をかけての観光も可能。
*その他、ロシア各地の島々の観光については6月10日~15日にモスクワのVDNKhで開催の観光フォーラム「LET'S TRAVEL!」 で知ることができる。