
なぜソ連を「ソヴォク」と呼ぶのか?

「ソヴォク」とは通常、子供達が砂場で遊ぶ時に使う小さなスコップか、もしくはチリ取りを意味する。

ソ連時代末期、この語には口語的な略語としての意味が加わった。「Совок」(ソヴォク、固有名詞なので大文字で始まる)という語はロシア語詳解大辞典にも掲載されている。
「ソヴォクの生活」あるいは「ソヴォク時代」という卑下した表現が、ソ連について用いられる。また、「共産主義イデオロギーの管理下において形成された習慣や傾向が顕著な者」についても用いると、辞書は定義している。
また、「ソヴコーヴィ」という形容語もあり、こちらはもっと広く、あらゆる古臭い、時代遅れの、不便なものについて使われる。
ロシア語ポータルサイトによれば、こうした語は「(文体として)あえて格下げした俗語的表現で、明確な否定的意味を持つ」とのことである。
語源は?
語源に関しては、いくつかの説がある。最も明解なものは、「ソ連の」を意味する「SOVetsky」の先頭3文字に接尾辞「-ok」が付き、俗語的かつ卑下した表現として完成したというもの。

別の説によると、この造語の生みの親はソ連・アメリカの言語学者・哲学者で、アメリカに移民したミハイル・エプシュテインとされる。1980年代に書いた『偉大なるソーフィ』で、彼は全体主義について考察し、ソ連国民が「soveti」していると論じた。
「Sovetiとは、生死のはざまの奇妙な状態である。目は開いているが、全く動かない」
と、エプシュテインは述べる。従って、sovetiの変化した「Sovok」とは、全体主義的思考に支配された人間、ということである。
そしてもう1つの説が、最初期のロッカーでもある詩人・歌手のアレクサンドル・グラツキーが「ソヴォク」という語の始まりというもの。グラツキー自身の語るところによれば、友人たちと砂場で酒盛りをし、グラスの代わりに砂場で使う玩具の型枠を使った。この時グラツキーはスコップ(sovok)を使う羽目になり、これを絶望的状況の象徴と感じたという。しかしグラツキー自身は、「ソヴォク」という語にジャーナリストたちが持たせた(と彼は考えている)意味合いには不満だという。彼はスコップを使うことになって笑い、決して悪いイメージで捉えてはいなかったそうだ。