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ヴァルダイ市は、いかにして「地下鉄」を生み出したのか

パヴェル・クズミチェフ
地下鉄のない街が、地下鉄を「発明」した。ノヴゴロド州ヴァルダイで生まれた、少し風変わりだが示唆に富む試みである。

 ロシアで地下鉄を有する都市は、人口100万人を超える大都市でもわずか7つに限られる。

valday.com (CC BY 4.0)

 ところが、人口約1万4千人の小都市ヴァルダイを訪れると、地下鉄の入口標識や路線図、「M」の文字が刻まれたマンホール、さらにはトークンまで目にすることができる。 ただし、実際に存在しないのは地下鉄そのものだ。

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 ヴァルダイは、観光地として知られる町である。17世紀創建のイヴェルスキー修道院、美しい湖沼群、そしてヴァルダイの鐘の歴史を目当てに、年間を通じて多くの観光客が訪れる。

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 この「架空の地下鉄」が誕生したのは2003年のことだ。市に関するポータルサイトの編集者が、町の見どころを紹介する新たなガイドとして、地下鉄路線図の形式を採用することを思いついた。

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 路線と駅のビジュアルを手がけたのは、地元の写真家ティモフェイ・シュトフ氏である。完成した路線図には、4路線・28駅が描かれ、それぞれの「駅」には史跡や観光スポットが割り当てられている。

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 設定上、この地下鉄は市境を越えて走ることになっており、各駅には簡潔な解説と歴史的背景が添えられている。この試みは、市民や観光客の間で好意的に受け止められ、やがてヴァルダイを象徴する存在の一つとなった。なお、地下鉄の「乗車券」は、ヴァルダイ鐘センター博物館で購入することができる。

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