モスクワを代表するホコ天、アルバート通りの見所ガイド
アルバート通りを端から端までゆっくり歩いても20分ほど。距離にして1.2kmしかない。しかし、アルバート通りとその周辺の路地は丸一日かけても見尽くせないほどバラエティ豊か。様々な時代の邸宅や美しい建築をはじめ、見どころ満載だ。
歩行者天国となったのは意外と最近で、1986年のこと。それまでは路面電車が通っていた。さらに以前、並行する幅広の新アルバート通りが開通するまでは、いわゆる「政府道路」であり、スターリンはここを通ってクレムリンへ移動していた。
今も残る19世紀の古い邸宅には、かつて様々な時代にアレクサンドル・プーシキン、マリーナ・ツヴェターエワ、アレクサンドル・スクリャービン、フョードル・シャリャーピンら、著名な歴史上の人物たちが住んでいた。
それでは、是非ともチェックしておきたいアルバート通りの名所をご紹介しよう。
「フドージェストヴェンヌィ」映画館
正確にはアルバート通りではなく、アルバート広場に位置する。地下鉄アルバツカヤ駅から地上に出て、最初に目にする建物だ。モスクワでは最古の映画館で、1909年のオープン。今もアールヌーヴォー調の美観を維持し、オリジナル言語での映画上映の伝統を守っている。
ワフタンゴフ劇場
1921年、演出家エフゲニー・ワフタンゴフ率いる学生研究劇場がアルバート通りの建物で彼らの初の劇を上演した。以降100年以上続くワフタンゴフ劇場は、ロシア演劇界を代表する劇場の1つとされている。
ツォイの壁
アルバートは、コントラストの同義語だ。19世紀の賃貸住宅が構成主義建築と隣接し、古典的な舞台劇場はロックミュージックと隣合わせになっている。「ツォイの壁」は、ロック史のレジェンドバンド「キノー」と、そのリーダーであるヴィクトル・ツォイの信奉者たちが集う、即席の聖地。キノーの歌詞からの引用とグラフィティで一面埋め尽くされた、モスクワで最も有名な壁である。
「騎士のいる家」
商人フィラートフの賃貸住宅は、一般に「騎士のいる家」として知られている。建設は1913年、ネオゴシック様式の建物である。中世風を真似たスタイルであるこの様式の特徴として、2体の石造りの騎士像が建物を「護って」いる。建物のちょっとしたポイントとなっている造形だ。
メーリニコフ邸
クリヴォアルバツキー路地に隠れるように、アヴァンギャルド建築の傑作が佇んでいる。シリンダー形のこの建物は、構成主義の著名な建築家コンスタンチン・メーリニコフが1920年代に自邸として建てたもの。奇妙な3階建ての内部にはアトリエ、客間、寝室、キッチン、食堂があった。現在は博物館となっている。
ブラート・オクジャワ像
「アルバートよ、我がアルバートよ、我が祖国アルバートよ」と、アルバート通りの共同住宅で子供時代を送ったソ連・ロシアの詩人・シンガーソングライターのブラート・オクジャワは歌った。それは、古いモスクワの街の静かな中庭や路地の、ゆっくりと時間が流れる風景の回顧であった。2002年、かつてオクジャワが暮らしていた住宅の付近にゲオルギー・フラングリャン作のオクジャワ像が建てられた。
砂上の主の変容教会
ワシリー・ポレーノフの代表作の1つ『モスクワの中庭』に描かれた教会である。
ヴァシリー・ポレノフ、『モスクワの中庭』、1878年
18世紀初頭に建立された教会で、装飾や窓の美しい框、ココシュニク飾りや尖塔形の鐘楼など、モスクワ・スタイルの様式が特徴的である。
プーシキンの家博物館
モスクワにはプーシキン関連のスポットが多い。彼がアルバート通りで暮らした期間は短かったが、結婚式のあとに新妻ナタリヤ・ゴンチャロワを迎え入れたのが、まさにこの建物で、現在は博物館となっている。
外務省
サドーヴォエ環状道路側、地下鉄スモレンスカヤ駅近くからアルバート通りを臨むのが、ロシア連邦外務省の建物。壮麗なスターリン様式のビルである。残念ながら中には入れないが、外からでも巨大建築の威容は十分に堪能できる。