
粗野で卑猥な罵言「マート」の代わりに使えるロシア語5選

1. 「ブリン」(блин)
この言葉を覚えておこう。ロシア人は、良い意味でも悪い意味でも、あらゆる状況でこの言葉を使う。実は、これはロシア語の「Bワード」の最も一般的な、そして「合法的」な代替語なのだ(ロシア語の「Bワード」は、英語の単語 「F*ck」 を表す婉曲表現、「Fワード)のようなものだ。だが、はるかに粗野で卑猥とみなされ、公の場では決して受け入れられない)。面白いのは、「ブリン」は、実はパンケーキなのだ…!
この言葉の由来については、こちらをご覧ください。
2. 「チョールト」(чёрт)
「チョールト」は、文字通り「悪魔」を意味する。この言葉は、「ブリン」よりもさらに粗野だとされている。ロシア人は、とても迷信深く、神や悪魔についてみだりに口にすることは、よしとされないからだ。しかし、多くのロシア人がこの言葉を頻繁に使うのを耳にするだろう。よくこんな風に言う。「チョールト、チョールト、チョールト、チョールト、チョールト!」
さらに、「チョールト」と言いすぎることを意味する「チェルチハツァ」(чертыхаться)という動詞さえある。
3. 「ヨーシキン・コート(ヨーシカの猫)」(ёшкин кот)
この表現には、深い民俗的ルーツがある。「コート」は猫だ。一方、「ヨーシキン」は、ロシア民話に登場する老婆の魔女「バーバ・ヤガー」と関係がある可能性が高い。彼女は「バーブカ・ヨーシカ」と呼ばれることもある。そして、実際、いくつかの物語では、彼女は邪悪な猫、あるいは魔力をもつ猫を飼っていた。
ロシアのヨシカル・オラ市には、「ヨーシキン・コート(ヨーシカの猫)」の記念碑もある。ただし、都市名「ヨシカル・オラ」(Йошкар-Ола)にちなんで、「ёшкин」ではなく「йошкин」と綴るが。
4. 「ヨープルスト」(ёпрст)または「ヨークルムン」(ёклмн)
実は、ロシア語には「ё」(yogurtの「yo」のような音)で始まる、公の場では御法度の罵言が、たくさんある。だから、ここでは論理を探そうとしても無駄だ。
これは、多くの人が考えるように略語ではなく、単なる文字の組み合わせだ。キリル文字では、この二つの単語は、「прст」と「клмн」のように、アルファベット順に子音が並んでいる。そして、ロシア人は子音の前に正しい母音を置く代わりに、「ё」を置く。つまり、アルファベット順なら、「иклмн」と「опрст」だが、そうではなく、「ёклмн」「ёпрст」とするわけだ。
5. 「ブリャーハ・ムーハ」(бляха-муха)
このフレーズは、非常に粗野に聞こえるが、ロシア語のポータルサイト「Gramota.ru」(Грамота.ру)で強調されているように、罵言ではない。これは、婉曲表現の完璧な例であり、罵言に聞こえるが実際にはそうではない、という例でもある。
「ブリャーハ」は実はベルトのバックルであり、「ムーハ」は昆虫の「ハエ」だ。この表現の由来については、多くの伝説やジョークがあるが、どれもとても幻想的だ。おそらく、悪名高いロシア語の「Bワード」の発音に似た単語の一つなのだろう。