
ケーニヒスベルクの7つ橋問題は解決可能か?

街に古くからあるお遊びが、数学上の新たな展開を生んだ!
中世ドイツのケーニヒスベルク(現在はロシアのカリーニングラード)を流れるプレーゲル川には、隣接した中州が2つあった。川の両岸と2つの中州は、合計7つの橋で結ばれていた。
そして市民の間では、この7つの橋を、同じ橋を2度通らずに全て渡れるか、という遊びがあった。しかし、成功した者はいない。

この問題に着目したのが、ペテルブルクの数学者レオナルド・オイラーだった。彼は1736年、これを解く長大な論考を記し、後にグラフ理論と呼ばれるようになる、数学の新たな分野を開いた。
オイラーは、橋から到達できる陸上の地点を全て繋いで経路を示した。こうして複雑な図形、グラフが出現した。すなわち、複数の点が“エッジ”という線で結ばれた図形である。グラフの全ての路を1度だけ通る路が、「オイラー路」である。
キラ・ポリュドワ
簡潔に結論を述べるなら、この問題は解決不能である。オイラー路が可能になるのは、奇数本のエッジで結ばれた頂点が2つ以下の場合のみだが、このケースだと2つより多いからだ。
似たような問題で、子供向けのもある:開いた状態の封筒は一筆書きできるが、閉じた封筒はできない。開いた状態の封筒では奇数の頂点が2つ(数字の3)あるが、閉じた封筒の場合は4つだ。
キラ・ポリュドワ
オイラーのこの発見は、電気工学、地形学、エネルギー理論などに応用されている。
なお残念ながら、ケーニヒスベルクの橋問題を実際に試すことは、もはや叶わない。7つの橋のうち、現存するのはデレヴャンヌイ橋とメドーヴイ橋の2つのみ。他の橋は改修されて1つの高架橋にまとめられたか、あるいは第二次世界大戦中に失われてしまった。