ダゲスタンの代表的料理１０選

１．ヒンカル

　ダゲスタンを代表する一品。ジョージアの「ヒンカリ」とは異なるので注意！ダゲスタンのヒンカルはボイルした肉、生地、ブイヨン、ソース。これらが別々にテーブルに並ぶ。祝いの席に出される料理で、どこのレストランでも定番のメニューだ。各民族にはそれぞれ独自のレシピがあり、生地の包み方にも違いがある。アヴァール人の場合は厚めの菱形、レズギ人の場合は薄め、ダルギン人の場合はカタツムリ型といった具合だ。

２．クルゼ

　ロシアのペリメニ、イタリアのラヴィオリ、日本の餃子…各国の料理に独自のダンプリングがある。ダゲスタンのものは、クルゼと呼ばれる料理だ。薄い生地を使った小さめのペリメニで、編んだ髪のような形に具を包み込んで茹でる。具材はトヴォログ、青物野菜、肉、ジャガイモなど多用なバリエーションがある。

３．チュドゥ

　ダゲスタンの伝統的なパイで、イーストを使わない生地を、油をひかないフライパンで焼く。焼きあがったら表面にバターを塗って出来上がり。具のバリエーションは多用で、肉、カボチャ、トヴォログ、青物野菜など。チュドゥの亜種で、肉入りの厚めのパイ「クヤチ」、アヴァール人伝統のトヴォログもしくはジャガイモ入りの「ボティシャル」もある。

４．シャシリク

　コーカサスに行ってシャシリクを食べずに帰るなど、グルメ的には罪深いと言えよう！シャシリクは、金串に刺して炭火で焼いた肉料理。ダゲスタンは特に羊肉が有名で、その下ごしらえは地元料理人たちの大得意分野だ。リブあたりを選べばまず間違い無い。ひき肉を金串で焼くリュリャも、おすすめの一品だ。

５．カウルマ

　コーカサスの多くの民族には同様の料理がある。ダゲスタンの場合は、とろ火で蒸し煮した肉（一般的には羊肉の柔らかい部分）と、たっぷりの香辛料、そして様々な野菜が入っている。

６．干し肉

　ダゲスタンの山岳地域の部落では、何世紀にもわたって干し肉が食べられてきた。冷蔵庫が無い時代の、冬に向けた保存方法だった。日光と風に恵まれた山岳部は、こうした干し肉作りには絶好の環境でもあった。干し肉でも特に多いのが羊肉、牛肉、ヤギ肉である。

７．ウルベチ

　ウルベチは、ナッツ（アーモンドを使うのが一般的）と様々な種子（亜麻、麻、ヒマワリ、カボチャ）で作るペーストである。ウルベチは万病に効き、免疫を高めるとダゲスタンでは信じられている。そのため、ウルベチは粥に加えたり、デザート作りに使うなど、子供に食べさせることも多い。ダゲスタン名物のウルベチ入りコーヒーもおすすめ。瓶詰めはお土産にもある。

８．干しアンズの粥

　豊富に栽培されるアンズが想像力を刺激した結果生まれたレシピ。干しアンズの粥は朝食として食べるのが一般的で、前述のウルベチを加える。甘くて、満腹感がある。

９．バフフ

　結婚式のデザートと呼ばれるが、供養の席にも供される。バフフはハルヴァの一種だが、ダゲスタン特有のもの。小麦粉とバターで作り、ナッツで装飾して、菱形にカットするのが特徴。

１０．カルムィツキー・チャイ

　カルムイクのお茶を意味するカルムィツキー・チャイが、なぜダゲスタンに定着したのか。これは現在に至るまで郷土史家の論争を呼んでいる。恐らく、何百年も昔にカルムイクの遊牧民が伝えたのだと思われる。そのまま山岳の住民らの間に定着し、郷土の食文化に組み込まれた。観光客も好奇心から飲んでみるが、万人の口に合うとは言い難い。これはお茶に牛乳と塩、香辛料と油（羊の脂肪を使うことも）を加えた、一風変わった飲み物である。好みに合わないようだったら、ダゲスタン伝統の薬草湯を試してみよう。こちらは万人受けする筈だ。