マダガスカルから来たレベッカさん:「プーシキンは暗記してます」
ロシア語を始めたきっかけは?
ランザラヒ・アンザチアナ・レベッカ(Ranjalahy Anjatiana Rebecca)さんはプーシキン記念ロシア語大学の予備課程で学んでいる。
「ロシア語の勉強を始めたのは、ロシア語が美しく豊かな言語で、そのメロディックな響きが好きだからです」。
モスクワに来る以前、レベッカさんはマダガスカルのアンタナナリボ大学で3年間、ロシア語を学んでいた。マダガスカル島ではレアなこの言語を選択する学生は多くなかったが、毎日4時間ずつ、格変化などの文法の学習に取り組んだ。
レベッカさんは困難にもひるまず、「大学卒業後は、祖国でロシア語の教師になろうと思っています」と語る。しかしその前に、ロシアで一定期間学び、ロシア語の言語空間に身を置く事に決めた。
ロシア愛とプーシキン愛
ロシア語は当初からエキゾチックに感じられたが、実際のロシアはそれ以上だった:「初めてロシアにやってきたのは、11月の終わり頃でした。雪が降っていましたよ!マダガスカルでは有り得ません。とても綺麗だけど、寒かったですね」 と、レベッカさんは笑顔で回想する。
ロシア語は語学教師という目標へ近づくのはもちろん、新たな知己を得るのも後押ししてくれた。現在は大学の寮に住むレベッカさんは、特に2人のロシア人のお隣さんと親しい。
「私とってロシア語はコミュニケーションのツールというだけでなく、ロシアの文化と伝統を理解するための鍵です」
「好きな作家は、アレクサンドル・セルゲエヴィチ・プーシキン。私は愛について読むのが好きなのですが、プーシキンにはそうした作品が多いですね!」
特にお気に入りのプーシキンの一篇は、『私はあなたを愛していました』で、暗記しているという。
ロシア語で最も難しいのは
マダガスカルの大学での1年目、レベッカさんは「дедушка」(おじいさん)と「девушка」(おじょうさん)を混同したことがある。今では笑い話だ。なにしろ、もっと難しいものもあるからだ。
「私にとって一番難しいのは、格とアクセントです。あと時々、動詞の完了体と不完了体を正しく判断するのが難しいですね」。
もう1つ、レベッカさんにとって難しいのは “L” の発音だ。例えば「был」、という単語を発音するだけでも、不慣れゆえに声帯に余計な力が入ってしまう。取材陣が “L” が多く入っている「корабли лавировали, лавировали, да не вылавировали」という早口言葉に挑戦するよう提案したところ、レベッカさんにとっては尋常ではない苦労を強いることになったが、それでも彼女は見事課題をクリアしてみせた。