国際宇宙ステーション(ISS)ではロシア語でもやり取りしていることをご存じ?
ロシア語の動詞「прикрыть(prikryt)は、「少し閉める/閉め切らないで閉める)」という意味で、国際宇宙ステーションのすべての乗組員と、その飛行管制センターに知られている言葉なのだ。だから、この文は、次の意味になる。「ノード1後方のハッチはちゃんと閉め切らずに、少し閉めておいた?」
(*ちなみに、「ノード1(Node 1)」は、1998年にスペースシャトルで打ち上げられたアメリカ製の最初の接続モジュール「ユニティ(Unity)」のことだ)。
「прикрыть」という語は、何かを閉める必要はあるが、最後まで完全には閉めないときに使う。たとえば窓だ。この言葉は、短いのに情報量が多く、分かりやすい。宇宙ステーションでは一秒一秒が重要なので、情報交換は速ければ速いほどよい。
「“close but do not latch”(閉めるが、ラッチ〈掛け金やかんぬき機構のこと〉まではかけない)と言うより、“прикрой”(少し閉めて)と言ったほうが、ずっと短くてすむ。そこで、教官の誰かの提案によって、ヒューストンの飛行管制センターの日常用語の中に、ロシア語の動詞 “to prikryt” が取り入れられた」。宇宙飛行士で SpaceX Crew-7(スペースXのクルー7)の乗組員でもあるコンスタンチン・ボリソフは、自身のページでこう説明している。
彼によれば、このロシア語の動詞は、必要な語尾を付け加えることで、英語本来の時制体系の中に「組み込まれ」ようとさえしているという。その結果として生まれるのが、prikryt’ed(英語の過去形・完了形のような形にした表現)という、いわば「宇宙的な」言い回しだ。
では、英語の中に入り込んだロシア語には、ほかにどんなものがあるかご存じだろうか?