
ヒトラーの遺骸がロシアにあるというのは本当?

本当だが、文字通りではない。1945年春、モスクワにヒトラーのアゴの骨と、弾丸の跡がある頭蓋骨の一部が調査のために送られ、そのまま保管されている。
「FSB(連邦保安局)の保管庫にヒトラーの顎の骨が、ゴスアルヒフ(国立公文書館)には頭蓋骨の一部が保管されています。これらはヒトラーの死を証明する唯一無二の、貴重な記録資料です」
と、FSBの元アーカイブ管理・登録課長ワシーリー・フリストフォーロフは語っていた。
ヒトラーの遺骨が本物であることは、2002年にFSB保管庫に許可をとったアメリカの研究者の調査で確認された。彼は、生前のヒトラーの下顎のレントゲン写真を所持していた。
「我々がその存在を知らなかったレントゲン写真を、彼は見せてくれました。それは長年、アメリカの特務機関が保有していたものだったのです。レントゲン写真と、我々の保管している下顎骨の一部は完全に一致しました」
と、フリストフォーロフは語る。

遺体のその他の部分は戦後、ドイツ国内の様々な場所に何度も埋葬しなおされた。1970年、KGB議長ユーリー・アンドロポフの指示によって遺体は処分された。ガソリンをかけて焼却後、灰はマクデブルク近郊で川に撒かれた。
「KGBもソ連共産党中央委員会も、ヒトラーの埋葬場所がやがてナチ思想の信奉者にとっての聖地になることを危惧していたことが、この決定に繋がったのです」
と、フリストフォーロフは指摘する。