ロシアに生息するアザラシいろいろ
1.ゼニガタアザラシ(Phoca vitulina)
体重130~150kgの小型のアザラシで、北極海の冷たい海に生息している。ロシアでは、バルト海に生息するヨーロッパゼニガタアザラシと、島アザラシもしくはスタイネガーゼニガタアザラシと呼ばれる2つの亜種がレッドデータブック入りしている。
後者はクリル諸島、カムチャッカ、コマンド―ル諸島のみに生息し、胴体全体の特徴的な輪っか状の明るい模様で見分けられる。
2.ゴマフアザラシ(Phoca largha)
スタイネガーゼニガタアザラシの近縁種で、銀色がかった体毛に濃い斑点が特徴的。極東の海洋自然保護区のシンボル的存在である。
3.アゴヒゲアザラシ(Erignathus barbatus)
ロシアに生息するアザラシ科の中で最大(360kg)。憶病な性質と、陸上をジャンプするように移動する姿から、露語では「海のウサギ」と呼ばれる。長いヒゲのために、アゴヒゲアザラシとも。北方の原住民は、太っているという意味の「ラフタク」と呼んだ。
北方の寒冷な海や北極海の浅瀬に生息し、基本的に単独行動を取る。繁殖期になると、メロディックな鳴き声を発する。
4.タテゴトアザラシ(Pagophilus groenlandicus)
白海とバレンツ海に生息。姿形がハープに似ている事から、英語では「harp seal」と呼ばれる。
寒冷な海の海氷を好み、その上で真っ白でフワフワの愛らしい子アザラシを産む。
5.ハイイロアザラシ(Halichoerus grypus)
露語では面長アザラシや、テヴャクという呼び名もある。体重300㎏に及ぶ大型種で、コラ半島付近の海に生息する。バルト海にも亜種が分布する。
6.クラカケアザラシ
露語では縞アザラシとも呼ばれ、まるでシマウマやパンダのような模様が特徴。翼を語源とするクルィラトカという異名もあり、これは遠くから見ると、模様が翼を広げているように見えるからである。特に雄の成獣の模様がくっきりしている。
ベーリング海、オホーツク海、チュコト海に生息し、人間に接近することは滅多にない。
7.ワモンアザラシ属(Pusa)
アザラシ科の中で独立した属を構成する。他のアザラシと比較すると小型で吻部が短く、真っ黒で涙をためたような目が特徴的。もちろん、これは涙ではなく、空気中で角膜を潤すために水分が分泌されたものである。
ワモンアザラシ属は海水のみならず、淡水域にも生息している。
ロシアではバイカル湖のバイカルアザラシと、カスピ海のカスピ海アザラシがよく知られている。また、輪っか状の模様が目立つワモンアザラシも複数の亜種が、フィンランド湾、ラドガ湖、白海、オホーツク海にそれぞれ生息している。
8.オットセイ(Callorhinus ursinus)
外耳が見られるアシカ科は、ロシアではオットセイとトドの2属が知られている。いずれも極東のクリル諸島、コマンドルスキー諸島などに分布する。雌よりも雄の方が目立って大型なのが特徴で、オットセイの場合は雌が70kg程度なのに対し、雄は320㎏にもなる。
繫殖期になると、オットセイは繁殖地の争奪戦を始める。より良い場所を巡って騒々しい争いが行われるが、出産後は一種の「保育園」が形成され、争いは停止する。
9.トド(Eumetopias jubatus )
オットセイとは近縁で、繁殖地も近い。トド(ステラーシーライオンとも)はとにかく巨大で、アシカ科の最大種である。雌は350kg、雄に至っては1トンにもなる。
トドの多くは人間を怖れず、漁師に接近して釣った魚を失敬することもある。その巨体に合わせて、食欲もビッグなのだ。