ロシアの甘い博物館10選
1.ロシアン・デザート博物館、ズヴェニゴロド
市内の古い邸宅内に、お菓子の国が隠れている。アーティストのタチヤナ・フェイナが発案したこの博物館は、お堅い学問の砦には似ても似つかない。むしろ、各部屋に宝物を散らかした、そそっかしい魔法使いの仕事場のような印象を受ける。古い食器棚や台所用品のコレクション、サモワールの数々、ピローグやプリャーニクを焼くのに使ったロシア古来の本物の暖炉などが並ぶ。1人で見て回るのも良いが、案内ツアーを頼めば、カラスムギのキセーリや林檎パンなど、ロシアの昔ながらのデザートについて詳しく知ることができる。館内のティールームでは、エゾノウワミズザクラを使った香り高く甘いドリンクも味わえる。
住所:Frunze st., 23/2
ウェブサイト:https://rusdessertmuseum.ru/
2.クレンデリ博物館、ヴィボルグ
クレンデリ(プレッツェル)の形は、祈りの際に組まれた手を表しているという説がある。700年前この焼き菓子パンの製法をヴィボルグに伝えたのがフランシスコ会の修道士であったという伝承があり、これを踏まえると、十分に説得力のある説と言えよう。彼らは自ら栽培したハーブを加えてクレンデリを焼いたが、かなりの収入をもたらしていたこともあり、レシピは秘匿していた。16世紀になってようやく修道士たちはレシピを売り、その後クレンデリはヴィボルグ以外のパン窯でも焼かれるようになり、ピョートル1世にも供された。こんにちまで伝わるその製法によるクレンデリは、ヴィボルグのクレンデリ博物館で実食できる。.
住所:Krasnoflotskaya st., 11
ウェブサイト:www.vyborg-gid.ru
3.コロムナのパスチラ博物館、コロムナ
モスクワ郊外のコロムナには、地元特産のスイーツに関する博物館が2つある。その1つが林檎パスチラで、その歴史探訪は19世紀から始まる。見学ツアーでは劇仕立てでパスチラの発祥やその特徴(主にアントノフカ種の林檎で作られる)、そして革命前の生活について語られる。もちろん、サクサクの出来立てパスチラと紅茶を楽しむのも、博物館の楽しみの1つだ。
住所:Posadskaya st., 13A
ウェブサイト:kolomnapastila.ru
4.「カラチナヤ」、コロムナ
コロムナのもう1つの甘党向け博物館が、「カラチナヤ」である。館内ツアーでは、カラチ(丸パン)の製造プロセスを詳しく学べる。14世紀のレシピを用いて、カラチ専用の窯で焼くのがポイントだ。
住所:Zaitseva st., 14
ウェブサイト:https://kolomnakalach.ru/
5.チャクチャク博物館、カザン
古い商人の邸宅は、まるで時間が止まったかのような空間だ。一歩中に足を踏み入れれば、そこは19世紀末の世界。更紗のカーテン、絨毯、ソファーや長持には色とりどりのカバーとクッションが置かれ、テーブルにはでっぷりしたティーポットに紅茶が入っている。
来館者は、ただのツアー客ではない。館の主人らが丁重に迎えるお客様だ。主らはその生活について語り、タタール料理を代表するデザートであるチャクチャク(蜂蜜シロップに浸けた小麦粉の塊を揚げたもの)をご馳走してくれる。
住所:Parizhskoi komunny st., 18A
ウェブサイト:https://chak-chak.museum/
6.マルチパン博物館、カリーニングラード
マルチパンは万病に効く薬であると、カリーニングラードでは言う。マルチパンに関しては、一家言ある街だ。まだケーニヒスベルクといった16世紀に、この菓子は街にやってきた。当初は薬局で販売され、菓子店で売られるようになったのは、その後である。ケーニヒスベルクのマルチパンはローズウォータ―と苦いアーモンドを加えるため、特にカラフルで、味も強めだった。19世紀になると、初のマルチパン製造工場も出来た。マルチパン博物館ではその歴史を展示するだけでなく、マルチパンを使って小さな絵画を描く方法も教えてくれる。
住所:Azofskaya st., 4
ウェブサイト:https://www.marzipanmuseum.ru/
7.エイネム・ローズ博物館、モスクワ
博物館は、かつてのエイネム製菓工場の建物をそのまま使っている。今にもココア豆とバニラの芳香が漂ってきそうな雰囲気だ。創業者はテオドール・エイネム。1849年の創業後、その人気は拡大し続け、一般市民はもとより、宮廷にも納入されるまでになった。革命後はクラスヌイ・オクチャブリ工場に改称された。「アリョンカ」や「カラクム」、「ミーシカ・コソラープイ」といったチョコレート菓子は昔と変わりなく、今もロシア中で販売されている。
2007年、工場はモスクワの中心部ベルセネフスカヤ河岸通りから移転し、建物は博物館となった。工場の歴史について詳しい展示があり、案内ツアーのあとはチョコレートでもてなされる。
住所:Bersenevskaya Naberezhnaya 6 str.1
ウェブサイト:https://rozaeinema.ru/
8.プリャーニク博物館、モスクワ
プリャーニク、別名を蜂蜜パン。この博物館では、プリャーニクの歴史とその製法を展示し、来館者はレピシに基づいてサポートを受けつつ、自ら焼き上げる体験もできる。ちなみに、博物館が入居するのは、17世紀の旧ユスポフ邸。その美しい建築を見学できるのも魅力の1つだ。
住所:Bolshoy Kozlovsky pereulok., 13.17
ウェブサイト:https://gingerbread-msk.ru/museum
9.チョコレートとカカオの歴史博物館(MISHKa)、モスクワ
チョコレートとカカオの歴史博物館、頭文字を取ってMISHKa(子熊)。展示はさながら万華鏡。南米のカカオの生産地、ロシアのチョコレート王アレクセイ・アブリコーソフ、そしてスイーツの製造過程と、展示内容は多彩だ。
住所:Malaya Krasnoselskaya st., 7
ウェブサイト:https://chokomuseum.ru/
10.プリャーニク博物館、トゥーラ
プリャーニクはどれも同じ?そんなわけはない。ロシアを代表するプリャーニクの街として、トゥーラを知らぬ者はいない。トゥーラでのプリャーニク製造は17世紀に始まり、その評判は国内はおろか、国外にも響いた。しかも、トゥーラのプリャーニクは決して安くない。レシピも独自のものがあり、胡椒や生姜を用いない。ソ連時代もこの産業は続き、複数あった工場が1つに統合されてスイーツの生産を続けた。博物館では、プリャーニクがペチャートヌィ(印刷された)と呼ばれる理由や、模様付けに使う道具、最大サイズと最小サイズのスイーツなど、多岐にわたって紹介している。
住所:Oktyabriskaya st., 45A