夏についてのロシアの諺10選

キラ・リシツカヤ(写真:アレクセイ・サヴラーソフ/トレチャコフ・ギャラリー、パブリックドメイン、Freepik.com)
キラ・リシツカヤ(写真:アレクセイ・サヴラーソフ/トレチャコフ・ギャラリー、パブリックドメイン、Freepik.com)
季節に関する諺はたくさんある。一年中で最も暖かい時期に関するものも少なくない。

1.「Июньские ночи воробьиного носа короче」六月の夜は、雀の鼻より短い

 夏の最初の月は、日照時間が増え、逆に夜は短くなる。6月22日前後は夏至となり、昼が最長、夜が最短となる。

2.「Знойный июнь – на рыбалку плюнь」暑い六月は、釣りはやめとけ

 天候が変わりやすいため、釣果はあまり良くないかもしれない。熱心な釣り人は、予定を変えたほうがよいだろう。

3.「В июле на дворе пусто, а в поле густо」七月は、庭は空っぽだが、畑は生い茂っている

 つまり、盛夏の時期は、たくさん収穫し冬の食料を確保するために、皆が畑で忙しく働いている。家で涼む暇などない。

4.「В июле солнце без огня горит」七月は太陽が火もなく燃える

 夏の半ばには、最も暑い日々日がやってくる。

5.「Готовь летом сани, а зимой телегу」夏には橇、冬には荷車を用意すべし

 何によらず事前に準備しておく必要がある。

6.「Летом пролежишь, зимой с сумой побежишь」夏に怠けると、冬は物乞いをしなければならない

 暖かい季節に働かなければ、寒い季節には食べ物がなくなるかもしれない。

7.「До Ильи мужик купается, а с Ильи с рекой прощается」イリヤの日まで男は水浴びをし、その後は川に別れを告げる

 これは、「イリヤの日」、つまり預言者エリヤを記念する祭日について言っている。正教会の暦では、8月2日(グレゴリオ暦)に祝われる。この日から、夏は盛りを過ぎると考えられている。だから、8月について次のように言われるのは、偶然ではない。「八月は、昼食前は夏、昼食後は秋」。これは、悪天候の最初の兆候を指している。

 民間信仰では、この祭日の後は、水泳が禁じられていた。「イリヤの日」から水温が下がり、溺れたり重い病になったりすると信じられていたからだ。別の解釈としては、この祭日の後、収穫期が始まり(イリヤは豊穣の守護者とみなされていた)、冬に向けて盛んに準備する時期になる(だから、水泳どころではない)。

8.「В августе крестьянину три работы: и пахать, и косить, и сеять」八月、農民には三つの仕事がある――耕し、収穫し、種を蒔く

 夏の最後の月は、農作業が最高潮となる。収穫し、冬の食料を蓄え、同時に、次の農期に向けて耕地を整える必要がある。 

9.「Петр и Павел час убавил, а Илья-пророк два уволок」ペテロとパウロは一時間減らし、イリヤは二時間減らす

 ロシア正教の信者は、7月12日(グレゴリオ暦)に、「聖ペテロと聖パウロの日」を祝う。7月の半ばに近づくにつれて、日照時間が1時間短くなり、8月2日の「イリヤの日」以降は、2時間短くなるとされていた。

10.「Лето идет вприпрыжку, а зима — вразвалочку」夏は飛び跳ねていくが、冬はよちよち歩きだ

 暖かい日々は、速やかに、いつの間にか過ぎていくが、寒い季節は、信じられないほど長く続く。

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