
ロシアの伝統的な夏の飲み物「クワス」

発酵飲料の代表格として世界的に人気を集めるコンブチャと並び、ロシアには独自の伝統的な発酵飲料「クワス」が存在する。その最大の特徴は、パンを原料にしている点だ。
夏になると、ロシアのスーパーマーケットの棚にはクワスの瓶がずらりと並ぶ。濃い茶色の炭酸飲料で、甘酸っぱくライ麦パンのような豊かな香りが広がる。標準的な発酵法によって製造されており、美味しさだけでなく健康効果も期待できる。主な原材料は麦芽、小麦粉、ライ麦パン粉である。
クワスは中世からロシアで愛飲されており、10世紀の年代記にもその記録が見られる。古くから体力を増し、活力を与える飲み物として親しまれてきた。近代以降、科学的研究により、クワスに含まれる善玉菌やプロバイオティクスが健康面での効果をもたらすことが明らかになっている。
帝政ロシアやソ連時代には多くの家庭で自家製のクワスが作られていたが、現在ではほぼすべての食料品店やスーパーマーケットで手軽に購入できる。また、夏の定番冷製スープ「オクローシカ」との相性も良く、夏の食卓に欠かせない存在だ。
ロシアの夏を味わう伝統の一杯として、ぜひクワスを試してみてはいかがだろうか。