GW2RU
GW2RU

ロシア映画でロンドンとして描かれた場所

Aleksander Grishin / Global Look Press
ソ連・ロシア映画では、さまざまな都市が見事にロンドンを「演じてきた」。

サンクトペテルブルク 

 「北の首都」は、ロシアの都市の中で最も「イギリス的」だ。その建築は、ヴィクトリア朝時代のイングランドを撮影するのに最適である。 

 シャーロック・ホームズとワトソン博士を描いた連続テレビドラマ(1979~1986年)のために、ここでは数多くの印象的なロケ地が見つけられた。『緋色の研究』を原作とする回では、サルティコワ公爵夫人の別荘が登場するが、これは、毒殺犯の犠牲者が発見されるローリストン・ガーデンの空き家を「演じて」いた。

 サンクトペテルブルクのカーメンヌイ島にある邸宅や並木道は、まさに映画スターのような存在だ。クレインミヘリ伯爵夫人の別荘では、バーソロミュー・ショルトーの屋敷「ポンディシェリ・ロッジ」の場面が撮影された。そこからほど近い場所には、シャーロック・ホームズを翻弄し、その心を奪った女性、アイリーン・アドラーの「家」もある。この「役」に選ばれたのが、ガウスヴァリト邸だった。

 ホームズ映画には、皇室の人々が所有していた建物も登場している。ウラジーミル・アレクサンドロヴィチ大公の宮殿では、「ディオゲネス・クラブ」の場面が撮影された。そこでマイクロフト・ホームズは、弟シャーロックとその友人ワトソン博士に会っていた。

 サンクトペテルブルクは、イギリス文学に登場する他の人物たちにも「愛された」。たとえば、実在した「切り裂きジャック」だ。ロシアの連ドラ『憑かれし者』(2009年)では、この連続殺人犯がうろついたロンドンの陰鬱な裏路地が、工場「クラスヌイ・トレウゴリニク」の敷地内で見つけられた。想像してみてほしい。古びた赤レンガの建物群、照らすのは投光器だけ、そこにサンクトペテルブルクらしい陰鬱な雨が降る――そうして、画面にはロンドンのスラム街が現れるのだ。

セルゲイ・クドリャフツェフ

 ノヴゴロツカヤ通り、スタロルースカヤ通り、そして第8ソビエト通りでは、映画『11人の静かな男たち』(2022年)のためにロンドンの街並みが撮影された。この作品は、1945年11月にモスクワのサッカークラブ「ディナモ」がイングランドのクラブと親善試合を行った出来事を描いている。

アレクセイ・ピマノフ、エカテリーナ・ポベディンスカヤ/ピマノフ・アンド・パートナーズ、2022年;Googleマップ

ネマン 

Google マップ

 カリーニングラード州の古い町ネマンでは、イギリス作家、ジェローム・K・ジェロームの小説をもとにしたソ連のコメディ映画『犬を勘定に入れないボートの3人男』(1979年)が、撮影された。主人公が友人たちとともに家を出て、「ロンドンはやはりロンドンだ。ここじゃ天気もまた味方してくれる」と言う場面で、彼が立っているのはプラウダ通りだ。戦前に建てられた地元の建物は、19世紀英国の首都を表現する舞台装置として見事に機能した。この映画では、テムズ川役をネマン川が「演じた」。

モスクワ

Aleksander Grishin / Global Look Press

 ソ連のコメディ映画『こんにちは、私があんたの叔母さんだよ!』(1975年)の冒頭から、クスコヴォ庭園を訪れたことのある人なら、オランダ館だとすぐに分かるだろう。この映画は、英国の俳優・劇作家、ブランドン・トーマスの戯曲『チャーリーの叔母』(邦題:のんきな叔母さん)に基づいている。映画の中では、この赤レンガの小さな建物がジャッキー・チェスネイの家になっている。そこに入り込むのが、小悪党のバブス・バベルレイだ。彼はブラジルから来た叔母、ドンナ・ローザのふりをしなければならなくなる。