「熊の親切」:この慣用句はどんな意味?

Kira Lisitskaya (Photo: Keystone Press Agency, dpa, imagebroker.com, blickwinkel/Global Look Press)
Kira Lisitskaya (Photo: Keystone Press Agency, dpa, imagebroker.com, blickwinkel/Global Look Press)
利益よりも害をもたらす援助や親切、つまり余計なお世話、有難迷惑のことを、「熊の親切」(медвежья услуга)と言う。 

 「親切な愚か者は、敵よりも危険だ」と、古典的な寓話作家、イワン・クルイロフは、「隠者と熊」(1808年)の冒頭で書いている。 

 あらすじは次の通りだ。主人公の隠者(俗世間との関係を絶って生活する人)が、熊と知り合う。ある日、熊は、友人の眠りを見守っているときに、一つ親切なことをしようと思った。隠者の顔にとまったハエを追い払ってやろう、と。しかし、熊は、力余って、石で頭を砕いてしまう。結局、彼は親切どころか、大きな害をなし、いわゆる「熊の親切」を施してしまった。

 やがて、この表現は、寓話から日常生活に取り込まれる。間もなく、何らかの援助や親切の「とくに破壊的な」結果を強調する必要があるときに使われるようになった。

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