飲酒にまつわる表現6選
“Под мухой” – Pod muhoi、直訳すれば「ハエの下」。軽く一杯やった状態を指す。一説には、「ムーハ(ハエ)」とはカードゲームの一種で、勝者は“с мухой” – s muhoiという言葉で祝福された(当然、酒を片手にプレイされていただろう)。やがてこのフレーズがより発音しやすく、響きも良い "под мухой” に変わったされる。しかし、異説もある。"муха" とは、居酒屋でウェルカムドリンクとして無料で提供された、10~20mlの小さなグラスを指す。利口な呑兵衛たちは店から店へハシゴして1杯ずつ呑んではゴキゲンになっていったという。
“Подшофе” – Podshophe、宴は始まったが、どんちゃん騒ぎにはまだ至らず、一杯機嫌の様子。語源はフランス語のechauffee(温まった、ほろ酔いの)で、これにロシア語の前置詞 "под"(~の下、影響下)が加わった。19世紀当時はかなりポピュラーだった語で、文学作品にも登場している。
“Заложить за воротник” – Zalojiti za vorotnik(直訳すると、襟の後ろに入れる)。「ロシア語辞典」を編纂したヴィクトル・ヴィノグラードフは、この表現は将校界隈から発生したもので、当初は「заложить за галстук(Zalijiti za galstuk、直訳すると、ネクタイの後ろに入れる」というフレーズだったとしている。ほろ酔いの人物を指す、茶化した表現である。
“На рогах”(na rogakh、角の上)もしくは “на бровях”(na brovyakh、眉の上) – 泥酔し、頭を垂れてよろめきながら歩く様子が暴れ牛を連想させる、そんな状態の人物を指す表現。
“В стельку”– v stelku(直訳すると、靴の敷革のよう)、立ち上がれず、まるで敷かれたように地面に張り付いている状態の人物を指す表現。
“С бодуна” – s boduna(直訳すると、突き癖のある牛から)という表現は、本来、酒が多く提供された騒々しい宴会の後、といった意味合いだった。一説によると、酔漢が頭を垂れる様子が、今にも人を突きそうな牛を思わせる事が由来だという。
だが、もっと味気ない説もある。それによると、бодня(bodnya)という語から派生しており、これは塩漬けや飲み物を貯蔵する樽を指す言葉だという。つまり、“С бодуна” とは、酒をひと樽呑んだ状態、ということになる。