「指」にまつわるロシア語の人気慣用句10選
1.Пальцем в небо
(当てずっぽうに/Pal'tsem v nebo)
ふつうは ткнуть пальцем в небо(指で空を突く)あるいは попасть пальцем в небо(指で空を当てる)という形で使われる。「当てずっぽうにやる」「でたらめに答える」という意味だ。
たとえば、答えを知らない学生が適当に答えたところ、偶然にも正解してしまった場合、「ткнуть пальцем в небо и угадать(当てずっぽうに答えて当たる)」と言うことができる。
2.Знать как свои пять пальцев
(自分の5本の指のようによく知っている/Znat' kak svoi pyat' pal'tsev)
あることについて隅々まで、非常によく知っているという意味。
「Я тут вырос, знаю город как свои пять пальцев.」
「私はここで育ったから、この町のことは隅々まで知っている」
3.Палец в рот не клади
(口に指を入れてはいけないほど油断ならない/Palets v rot ne kladi)
抜け目がなく、機会があれば自分に有利なように利用する人物について使う表現である。
古くからある民衆の知恵、
Ты ему палец в рот не клади — по локоть откусит.
(あいつの口に指を入れるな、肘まで食いちぎられるぞ/Ty emu palets v rot ne kladi — po lokot' otkusit)
に由来する。
つまり、「油断も隙もない」「一筋縄ではいかない人物」ということだ。
4.Обвести вокруг пальца
(手玉に取る、まんまとだます/Obvesti vokrug pal'tsa)
人をだましたり、巧みに出し抜いたりすること。
「Мошенники обвели пенсионерку вокруг пальца и забрали у нее все деньги.」
「詐欺師たちは、年金生活の女性をまんまとだまし、彼女の金をすべて奪った」
この慣用句の起源は、職人の世界に求められるという。かつて、指に糸を巧みに巻きつける技術が、職人の腕前の証しと考えられていたためだ。
5.Объяснить на пальцах
(かみ砕いて分かりやすく説明する/Ob"yasnit' na pal'tsakh)
難しいことを、誰にでも理解できるよう、具体的に、平易な言葉で説明するという意味だ。
日本語の「手取り足取り説明する」「かみ砕いて説明する」に近い。
6.Палец о палец не ударить
(指1本動かさない、何ひとつしない/Palets o palets ne udarit')
文字通り「指と指をぶつけることすらしない」、つまり、何の努力もしないという意味。
「Он палец о палец не ударил, чтобы поступить в университет.」
「彼は大学に入るために指1本動かさなかった」
つまり、まったく受験勉強をしなかったということだ。
7.Пальцы веером
(指を扇のように広げる=これ見よがしに威張る/Pal'tsy veerom)
この表現が生まれたのは1990年代。急速に富を築いた、いわゆる「新ロシア人(новые русские)」たちが、財力をひけらかし、派手な暮らしをするようになった時代である。
この言葉には否定的で、嘲笑的なニュアンスがある。
もともとは、
Пальцы веером, а сопли пузырями.
(指は扇のように広げて威張っているが、鼻水は泡だらけ/Pal'tsy veerom, a sopli puzyryami)
と揶揄されていたが、やがて前半部分だけが一般に残った。
8.Высасывать из пальца
(指から吸い出す=根拠もなくでっち上げる/Vysasyvat' iz pal'tsa)
実際には根拠のないことを、無理に作り上げるという意味。
Высосанная из пальца проблема
(指から吸い出したような問題=取るに足らない、でっち上げの問題/Vysosannaya iz pal'tsa problema)
と言えば、実際には大したことではないのに、ことさらに問題視された事柄を指す。
9.Смотреть сквозь пальцы
(指の間から見る=見て見ぬふりをする/Smotret' skvoz' pal'tsy)
問題や違反を知りながら、意図的に気づかないふりをすること。
たとえば上司が、あなたの遅刻を смотреть сквозь пальцы しているなら、遅刻に気づいていないのではなく、わざと見逃しているということだ。
日本語の「大目に見る」「見て見ぬふりをする」に近い。
10.Пальчики оближешь
(指までなめたくなるほどおいしい/Pal'chiki oblizhesh')
食べることが好きな人にはおなじみの表現。料理がとてもおいしい時に使われる。
「Бабушкины блины — пальчики оближешь.」
「おばあちゃんのブリヌイは、指までなめたくなるほどおいしい」
日本語なら「ほっぺたが落ちるほどおいしい」に近い表現だ。