「額」を使ったロシア語の6つの慣用表現

キラ・リシツカヤ(写真:Peter Finch/Getty Images; Open AI)
キラ・リシツカヤ(写真:Peter Finch/Getty Images; Open AI)
相手が「額(лоб)の広さが7ピャーヂもある」人でも――ピャーヂとは、親指と小指を広げたときの両指の先の間の長さだ――、つまりどんなに頭のよい人であっても、これらの表現を知っていれば、その人を驚かせることができるだろう。

1.Что в лоб, что по лбу

 (直訳:「額を殴ろうが、額をたたこうが同じ」)

 文字どおり、どちらも同じで、違いはないという意味だ。しかし、この表現は、他人の意見に耳を貸さず、自分の考えを頑として曲げない、ひどく頑固な人について使われることもある。

2.Лоб в лоб

 (直訳:「額と額を突き合わせて」)

 何かをするときや何かを言うときに、遠慮したり、外交的な配慮をしたりせず、正面から率直に行うことを意味する。

3.Глаза на лоб полезли

 (直訳:「目が額までせり上がった」)

 何かを見たり聞いたりして、非常に驚いたり、大きなショックを受けたりしたことを強調するときに使う表現だ。

4.На лбу написано

 (直訳:「額に書いてある」)

 その人の表情を見るだけで、どんな感情を抱いているのか、何を考えているのかが、簡単にわかってしまうという意味だ。

 アントン・チェーホフ(1860~1904)の戯曲『イワーノフ』には、ある登場人物が憤慨して、次のように語る場面がある。

 「水を一杯頼むにしても、たばこを一本吸うにしても、自分がどれほど並外れて正直な人間かを見せつけずにはいられない。歩いているときも、話しているときも、額には『私は正直な人間だ!』と書いてある。あいつと一緒にいると退屈でたまらない」

 一説によると、昔、この表現には文字どおりの意味があったという。かつては犯罪者の額や頬に、焼いた鉄で烙印を押していたのだ。この恐ろしい刑罰が廃止されたのは、ようやく1863年になってからのことだった。

 そして、時代が下るにつれて、この表現は比喩的な意味で使われるようになった。

5.Семи пядей во лбу

 (直訳:「額の広さが7ピャーヂもある」。ピャーヂは、親指と人差し指を広げたときの両指の先の間の長さを表す、ロシアの古い長さの単位)

 非常に頭のよい人を指す表現だ。

 昔は、額が広ければ広いほど、その人の知能も高いと信じられていた。

6.Медный лоб

 (直訳:「銅の額」)

 これは、先ほどの「Семи пядей во лбу(非常に頭のよい人)」とは正反対の意味を持つ表現だ。

 頭が悪いうえに、並外れて頑固で、根拠のない自信に満ちているような人物を指す。

 ウラジーミル・ダーリの『大ロシア語詳解辞典』には、この表現のもう一つの意味として、「наглый, бесстыжий человек(厚かましく、恥知らずな人間)」という説明も載っている。