100年前のロシアにもあった「キンダーサプライズ」

Ekaterina Tchesnokova / Sputnik
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卵型のチョコの中に、ミニチュアな玩具。実はこうした食玩は20世紀初頭のモスクワで、菓子工場が開発していた。

 「サプライズ」付きの卵型チョコレート菓子は帝政ロシア時代、パスハ(復活大祭)に子供達がもらえるお菓子だった。製造は、モスクワのイオガン・ディング菓子工場とアレクセイ・アブリコーソフ菓子工場でほぼ同時期に始まり、後に国内の他のメーカーからも発売された。

Ekaterina Tchesnokova / Sputnik 「サプライズ」付きの卵型チョコレート菓子
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 20世紀初め頃、ディング工場の卵型チョコレート菓子のラインナップは31を数えた。1から31までの番号が割り振られ、パスハに合わせて販売されていた。実際にはもっと多くの種類があったとする歴史家もいるが、記録は残っていない。

 中にはハッカのキャンデーや、イラスト、陶器の人形が入っていた。購入者が玩具の全シリーズを揃えて店に返却すると、新たにパスハ用のイースターエッグが貰えた。

 卵自体は、砂糖シロップで左右を貼り合わせて作られた。包装紙は手描きのため、同じ物は1つとして無かった。

Public Domain アブリコーソフ工場の卵型チョコレート菓子の品揃え
Public Domain

 アブリコーソフ工場は装飾が施された8種類の卵型チョコレート菓子を売り出し、中身は人形だった。

 アレクセイ・ラゴーディン工場では5種類の卵型チョコレートの他、「チョコレート爆弾」も発売された。モスクワのシウ菓子工場は「サプライズ入り錫の卵」と「ヒンジ付きチョコレート卵」も発売した。

Public Domain アレクセイ・ラゴーディン工場の卵型チョコレート菓子の品揃え
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 ペテルブルグにあったスイス人のモーリッツ(マヴリーキー)・コンラーディの菓子工場では、パスハ(復活祭)に合わせて色とりどりの卵型チョコレートを販売していた。

 価格は1個が8コペイカ程度から。パン1斤とほぼ同額である。しかし、中にはコレクション用の大型の製品もあり、その価格は労働者の月給を超えるほどだった。

 革命後、ロシアのチョコレート工場は国営化され、経営者たちの多くは亡命した。現在では、ディング工場の製品と、他の工場の古いカタログが残されているのみである。

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