ソ連・東欧のマッチラベル展が北海道で開催

マッチが私たちの日常生活に縁遠くなって久しいが、今でも需要はあり、よく見ると、マッチ箱のデザインは中々に多彩で面白い。マッチ箱ラベル収集を意味するフィルルーメニー(Phillumeny)という語もあるのだ。

 造形作家のありよしきなこさんは、ソ連や東欧の社会をうかがい知るためのヒントになり得るのではないかと考え、インターネットオークションなどで当時の飴紙やマッチラベルを収集してきた。小さな紙片の多彩なデザインに注目したそのコレクションは、展示会で熱心なファンを獲得していった。

 この春、北海道網走市の北海道立北方民族博物館で『ソ連·ロシアと東欧のマッチラベル展』が開催される。ありよしさんのコレクションからおよそ1万点を展示し、アルバムで閲覧可能だ。

 ソ連·東欧のマッチラベルの興味深い一面は、公共広告としての機能であると言えよう。それは単に、イデオロギー的なスローガンにとどまらない。公共サービスを宣伝し、危険行為を戒め、資源保護を訴え、交通法規を周知する等々…

 こうした機能は大判の公共広告ポスターと共通するが、3×5㎝というマッチラベルのサイズにおさめる工夫は見所の1つだろう。

 もちろん、公共広告以外にも、政治的スローガン、製品の広告、文学シリーズ、映画シリーズなど、内容は実に幅広い。特に芸術分野や宇宙開発に題材を取ったシリーズは、切手にも相通ずるデザインが目を引く。防災・防火などを訴える図柄は、まさに今で言う「現場猫」案件の注意喚起だ。トウモロコシ栽培を奨励したフルシチョフ時代のラベルには、トウモロコシ料理の図柄が登場するなど、時代を反映しているシリーズもある。

 ソ連でも、1924年に小規模なマッチラベル展が開催されたという記録がある。1957年にモスクワで開催されたマッチラベル展はもっと大規模で、収集家の活動に弾みをかける切欠となった。

 バラエティ豊かなソ連·東欧のマッチラベルをまとめて見られる、貴重な機会だ。

北海道立北方民族博物館のロビー展「ソ連·ロシアと東欧のマッチラベル」は2025年4月26日(土)~5月18日(日)まで開催。

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