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ロシア出身の科学者がノーベル化学賞
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アレクセイ・エキモフとそのアメリカ人の同僚、ムンジ・バウェンディ(マサチューセッツ工科大学〈MIT〉教授)とルイス・ブルース(コロンビア大学名誉教授)の3氏は、最も名誉ある科学賞の受賞者となった。スウェーデン王立科学アカデミーは、「量子ドットの発見と合成」に対して、3人にノーベル化学賞を授与した。
量子ドットは、極小のナノ粒子、半導体であり、その特性は、量子ドットの大きさによって異なる。ノーベル委員会の説明によると、量子ドットは「テレビやLED照明から光を放射する。また、外科医が腫瘍の組織を切除するのに役立つなどの利点もある」。
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さらに、量子ドットは、より“柔軟な”電子製品、小型センサー、より薄型の太陽電池、暗号化された量子通信などを生み出す助けにもなり得る。
1980年代に、アレクセイ・イワノヴィチ・エキモフ氏は次の点に気づいていた。すなわち、粒子のサイズが重要であり、量子効果中の粒子の輝きや色はそれに依存することさえある、と。
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この科学者は、1945年にソ連に生まれ、レニングラード大学物理学部を卒業した。1974年に彼は、物理学・数学の博士候補(PhDに相当)になり、1989年には博士号を取得した。彼の論文はいずれも、半導体の特性に関するものだった。
エキモフ氏は1999年から米国に住み、同国で働いている。以前は、ニューヨーク州のナノクリスタルズ・テクノロジー社で主任研究員を務めていた。