
ロシアの伝統婚礼文化をたどる特別展 ロストフ・ザ・グレートで開催中

ロシアの地方では、かつて結婚式はどのように執り行われていたのか。仲人にはどのような役割があり、子どもたちはどのように育てられていたのか。こうした素朴な問いにこたえるかたちで、ロシア美術館(サンクトペテルブルク)とロシア西部、ロストフ・ザ・グレートにあるロストフ・クレムリンで現在、伝統的な婚礼と家族の文化に焦点を当てた特別展が開かれている。
ロストフ・クレムリンの厩舎中庭にある歴史的空間で開かれる本展は、ロシア文化の魅力を体感できる貴重な機会となっている。展示は200点を超え、その大半はロシア美術館所蔵の貴重なコレクションから構成されている。

展示品には、ヴァシリー・トロピーニンやアレクセイ・ヴェネツィアノフといった著名画家による絵画、漆器細工の箱、民芸職人による手工芸品なども含まれる。

ロシア各地の少女たちがかつて身にまとっていた祝祭用の民族衣装は、特に見どころのひとつと言えるだろう。刺繍の模様や色彩、装飾の細部からは、地域ごとの風習の違いが鮮やかに浮かび上がる。
たとえば、アルハンゲリスク地方では、花嫁が赤いサラファンにシルクのショール、刺繍入りのスカーフを手に持つのが特徴であった。このスカーフは、新郎への贈り物とされたという。

一方、ニジニ・ノヴゴロド地方では、錦織のサラファンに加え、袖に刺繍を施したシャツ、宝石をあしらった首飾りを身につけ、頭にはリボン付きの包帯を巻くという独自の装いが伝わっている。
「ロシアの伝統」展は、国家プロジェクト「文化」の一環として開催され、サンクトペテルブルク、リャザンへと巡回を予定している。
ロストフ・クレムリンでの展示は、9月14日までとなっている。