クリスマスから公現祭まで:災厄を避けるためのタブー

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クリスマスイブの1月6日から19日の公現祭(キリストの洗礼を記念)までは、「ロシアのハロウィン」、つまり「スヴャトキ」だ。これは特別な、一種の端境期であり、この世とあの世の境界がとくに薄くて、相互に浸透しやすく、邪霊、悪霊が勢いづくと考えられていた。

 ロシアの民間伝承において、スヴャトキは、最も古く美しい年間行事の一つであると同時に、危険な時期でもあった。スヴャトキの2週目が「恐ろしい夜」と呼ばれているのは、決して偶然ではない。それは混乱の時期だ。旧年は去り、新年はまだ生まれていないため、世界の秩序は乱れている。混沌と調和の間の繊細なバランスを崩さないよう、細心の注意が必要だった。

Konstantin Chalabov / Sputnik
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 そのため、この時期には、死者の世界に戯れることが習慣となっていた。動物や悪魔の衣装を着て歌いながら街を歩き、占いをし、殴り合いをし、雪の上に血を流した。一方で、病気や貧困、その他の不幸を自分や家族に招かないように、いくつかの禁忌を守る必要があった。

Aleksander Galerin / Sputnik
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スヴャトキの期間のタブーは次の通りだ。

  1.  縫う、編む、糸を紡ぐといった女性の手仕事。ロシアの農民はよく、「スヴャトキの時期に働くと牛や山羊が仔を産まない」と言っていた。また、手仕事は視力低下、場合によっては失明につながる恐れもあった。そのため、糸紡ぎ車が完全に隠されることもあった。
  2.  狩猟、漁業、そして家畜の屠殺。狩猟者や漁師は森や水域の精霊を怒らせ、罰せられることがあった。家畜の屠殺は重労働であり、この時期には非常に好ましくない行為とされていた。
  3.   掃除、洗濯、ゴミ出しといった「汚れた」家事は、とくに公現祭前夜(1月18日)には避けるべきだ。これは水を「汚す」、あるいは家から幸福と豊かさを「一掃する」ことになりかねない。
  4.  お金、特に小銭を数えること、貸し借りをすること、あるいは大きな取引をすることは、涙、貧困、そして長期にわたる経済的困難につながる。
  5.  悪態をつく、口論する、罵倒する、怒る。怒りの中で発せられた言葉や思考は、ブーメランのように跳ね返り、病気や喪失につながりかねない。
  6.  各家庭を訪れる仮装者たちへの援助、施し、あるいはご馳走を断ること。寛大さは一年を通して繁栄をもたらし、貪欲は不幸と不作をもたらすとされた。
  7.  結婚し教会で式を挙げること。これはキリスト教の伝統と異教のそれとが融合した一例だ。キリスト教における結婚の秘跡も、この時期は禁じられていたのである。「スヴャトキに結婚するのはオオカミだけだ」と言われていた。