ロシア文学に登場するクリスマスシーン5選
こんにち、ロシア正教会はクリスマスを1月7日に祝う。しかし革命前は他のキリスト教国と同様、12月25日に祝っていた。
クリスマスが奇跡に満ちた特別な夜とされていたのは、昔の時代も同じ。ロシア文学でも多くの作品に華やかなツリーの描写や、クリスマスの夜を描いたものがある。
1.ニコライ・ゴーゴリ、『降誕祭の前夜』(1830年)
ゴーゴリ作品では、悪霊はしばしば日常的なものとして登場し、生活の中に存在する。降誕祭前のソチェリニクの日に、悪魔が月を盗み、闇に包まれたディカーニカ村は大騒ぎになる。一方の悪魔は住民のソローハという女性(魔女でもある)を訪ね、何事も無かったかのように酒を酌み交わす。
悪魔に対抗できるのは、若い鍛冶屋のヴァクーラのみ。彼は悪魔を従わせるとペテルブルくクの女帝のもとへ飛ぶ。ヴァクーラは女帝に、自分のわがままな花嫁にプレゼントするための靴が欲しいと頼む。そして降誕祭の奇跡か、女帝は承諾するのである…
2. レフ・トルストイ、『戦争と平和』(1860年代)
クリスマスは伝統的に家族で祝われるものだった。その後、スヴャトキが始まり、着飾った人々がお祭り騒ぎで家々を訪ね歩いた。その様子はトルストイの長編『戦争と平和』の中で最も「平和」な、ロストフ家が主な舞台の第2部で描写されている。
彼らは舞踏会の衣装をまとってソリに乗り、雪と極寒の中を駆けて他家を訪ねる:
「軽騎兵、貴婦人、魔女、道化、熊たちは玄関で霜に覆われた顔をぬぐい、咳をしながら、ロウソクが大急ぎで灯される広間に入っていった」
その後、ナターシャ・ロストワは未来の婚約者を占い、薄暗い灯りの中、鏡の中にアンドレイ公爵の姿を見る…
3.フョードル・ドストエフスキー、『キリストの樅の木祭りに召された少年』(1876年)
ドストエフスキーらしい短編で描かれるのは、陰鬱な冬のペテルブルク。クリスマスのその日、貧しい少年とその母が飢えで死を迎えようとしている。しかし、物語の底知れぬ恐ろしさにも関わらず、祝祭の雰囲気はこの作品にも漂っている。少年は死を目前にして、樅の木祭りにイエス自らが招いてくれているかのような幻を見る。
ドストエフスキーは、暖かくて居心地よく、沢山のプレゼントに囲まれた陽気な子供達がいる場所で、母親と再会した少年が本当の幸福を感じる様子を丹念に描写している。
4.ミハイル・ゾーシチェンコ、『最後の降誕祭』(1923年)
ゾーシチェンコは1916年、すなわち、革命前の最後のクリスマスを描写している。第一次世界大戦が続いており、お祝いのために親族のもとへ急ぐ人々は、小さな小さな鉄道駅で一夜の足止めを喰らう。彼らは、家族とともに祝う喜びを思い出し、家でどんな料理が待っているか考え、クリスマスの伝統に思いをはせる。
5.ボリス・パステルナーク、『ドクトル・ジバゴ』(1945年~1955年)
革命と内戦に題材をとった長編だが、物語冒頭は革命前の温かい光景、家族と過ごすクリスマスのシーンだ。ツリー、着飾った客、ミカン…まさにこのお祝いの夜、まだ若く気ままなユーリー・ジバゴは後の恋人ララに出会う。