
ロシア各地のプリャーニク7選

プリャーニク作りにも地方ごとに独自のレシピがあり、形や装飾、さらにプリャーニク伝説まで、何かしら地元の特徴があるものだ。作り方は主に3種類。スタンプ式は、絵柄を専用の木製の型で押して作る。型取り式は、手作業で装飾を練って作る。彫り出し式は、小麦粉から形を彫り出す作り方である。
1.トゥーラのプリャーニク

ロシアで最も有名なのが、このトゥーラのプリャーニクだ。作り方はスタンプ式。トゥーラ市には記念像まである。資料上に初めて登場するのは17世紀末。1889年のパリ万国博覧会ではグランプリを受賞している。
トゥーラのプリャーニクは形も重さも様々だが、最も多いタイプはプレート状で、中にポヴィドル(ジャムの一種)かコンデンスミルクが入っている。表面には、手の込んだ模様が施されている。
2.ゴロジェッツのプリャーニク

ニジェゴロド州の小さな都市ゴロジェッツもまた、トゥーラと同じくプリャーニクで名高い。スタンプ式のプリャーニクを作り続けて数世紀。ゴロジェッツの職人たちは精緻な模様をデザインし、プリャーニク本体もビッグサイズだ。
3.ヴャジマのプリャーニク

スモレンスク州のヴャジマで作られるプリャーニクはミニサイズだが、昔から大量に焼かれてきた。19世紀半ばには既に8つの工場がこの小さな街でプリャーニクを生産していた。こちらもスタンプ式だが、熱湯で溶いたこね粉の生地で作るのが特徴。中身はアーモンド、ピーナツ、砂糖漬けフルーツなど。
4.コズリ

アルハンゲリスク州は、動物型のプリャーニクで知られている。コズリは本来、ロシア北部の儀式用プリャーニクであった。昔からクリスマスや結婚式など、大事なお祝い事に合わせて焼かれてきた。一般的に、コズリはヤギ、ヒツジ、牛の形に作られる。こうした形のプリャーニクは、家のお守りになると考えられてきた。アルハンゲリスク市の中心部にはコズリ博物館もあり、コズリ作り体験にも挑戦できる。
5.ロストフのプリャーニク

ヤロスラヴリ州の古都ロストフでは様々なプリャーニクが焼かれてきたが、特に有名なのは、趣向を凝らしたそのデザインである。ロストフでは「プリャーニツィ」と呼ばれた結婚式用のプリャーニクは、土台となる大型の生地の上に、金箔で飾られた多種多様な造形のプリャーニクが載る豪勢なもの。上に載るプリャーニクは、来客に配られる。
現代のプリャーニク職人も食用の金箔を用いるが、特別な場合に限られる。
6.ドミトロフのプリャーニク

モスクワ州のドミトロフ市では、スタンプ式のジンジャーブレッド系の、フルーツ入りプリャーニクが焼かれる。「ドミトロフのプリャーニク祭り」が毎年催され、古くからの作り方を学べる体験教室も開かれる。
7.ザライスクのコヴリシカ

モスクワ州の名物の1つ、ザライスクのコヴリシカは19世紀頃から知られている。コヴリシカはプリャーニクに似た大型の菓子パンで、柔らかく、香辛料やハチミツ、レーズンや砂糖漬けフルーツを加えて作る。