「自分の頭に」:この慣用句はどんな意味?

Kira Lisitskaya (Photo: Philippe Turpin/Getty Images)
Kira Lisitskaya (Photo: Philippe Turpin/Getty Images)
良かれと思って何かしたのに、逆に裏目に出たり、損をしたりしたことはないだろうか?このようなとき、その人は、良いことを「自分の頭に(した)」 “на свою голову”(“ナ・スヴァユ・ゴロヴ”)、と言うだろう。つまり、善い行いをしたのに、それが災難に変じて、「自分の頭に」降りかかってきた、というわけだ。

 この表現は、『旧約聖書』からロシア語に入った。実は、古代ではそれは、罪や犯罪に対する報復を、日本風に言えば因果応報を意味していた。例えば、「ダニエル書(補遺)スザンナ55」にはこうある。

 «Солгал ты на твою голову; ибо вот, Ангел Божий, приняв решение от Бога, рассечет тебя пополам”.

 下線部を直訳すると、「あなたは、自分の頭に対して嘘をついた」。ちなみに、「新共同訳」では、上の文は、以下のようになっている。

 「まさしくあなたは致命的な偽証をしたのだ。今や、神の使いが、神の判決を受け取り、あなたを二つに裂く。」

 現代ロシア語では、「自分の頭に」という表現は、警告したいときにも用いる。あなたの行為は、かえって自分が損をして “на свою голову”、トラブルを招きかねないぞ、と。

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