
現代の慣用句10選:ロシア人の友達と話すのに欠かせない

"На сложных/серьезных щах"(「難しい/真面目な顔で」)
この場合の "щи"(「シチー」)は、キャベツ・スープではなく、顔のことだ。これは、些細なことを深刻に考えすぎたり、取るに足らない事柄や出来事を過度に重視したりする人について使われる。顔という意味の「シチー」は、他のフレーズにも使われる。例えば、"дать/получить по щам"(「シチーに打撃を与える/受ける」)は、殴り合いの喧嘩を意味する。
"Присесть на уши"(「耳に座る」)
空虚で無意味なおしゃべりで、話し相手(一人または複数の)をうんざりさせる。二つ目の意味は、欺くこと、誤った情報を与えること。三つ目の意味は、執拗な要求や説得によって自分の目的を達すること。
"Крыша поехала"(「屋根が動き出した」)

この場合の屋根は頭だ。"Сходить с ума"(「気が狂う」)という表現と同義。不適切な行動をする人について言う言葉だ。
"Выносить мозг"(「脳みそを運び出す」)
同義語は "сводить с ума"(「狂わせる」)。つまり、行動や言葉で誰かを激怒させ、不適切な状態に陥らせることだ。誰かが別の誰かの「脳みそを運び出す」とき、その人も「屋根が動き出した」可能性が高いだろう。
"Поехать кукухой"(「ククーハとして動き出す」)
頭が突然、明晰な思考力を失うこと。「屋根が動き出した」と同義だが、ここでは、頭が "кукуха"(「ククーハ」)と呼ばれている。これは "кукушка"(「ククーシカ」)という言葉から来ている。これは、鳥の「カッコウ」であり、周知の通り、名前に似た鳴き声を出す。
ちなみに、「ククーハ」は、人気作家ヴィクトル・ペレーヴィンのお気に入りの言葉だ。彼の小説 "Transhumanism Inc."(『トランスヒューマニズム株式会社』)でも、盛んに使われている。
"Включить голову"(「頭のスイッチを入れる」)
これは、考え始め、頭を使い、状況を分析し、妥当な決定を下し、衝動的に行動しないようにしよう、ということだ。
"Москва никогда не спит"(「モスクワは決して眠らない」)
2008年、DJ Smash (アンドレイ・シルマン)は、シングル "Moscow never sleeps"(「モスクワは眠らない」)をリリースした。この曲は作曲者に、ロシアの権威ある音楽賞「ゴールデン・グラモフォン」をもたらした。そして、同曲は、モスクワ市のテレビ局の朝番組でオープニングに使われたほか、人気の連ドラや何本かの映画でも使用された。
そして2014年には、ジョニー・オライリー監督によるロシア・アイルランド合作映画『モスクワは眠らない』のタイトルにもなった。これは、モスクワ建都の記念日を背景に起きた出来事を描いている。その結果、このフレーズは、モスクワの特徴を表すものとなった。
"В Питере – пить"「ピーテルでは飲む」

セルゲイ・シヌロフ率いるバンド「レニングラード」による曲のタイトルおよびフレーズ。ビデオは、2016年5月1日にリリースされた。サンクトペテルブルク独特の雰囲気を表している。
"Это Питер, детка!"(「ほら、これがピーテルさ!」)
ロシア人なら誰でも、サンクトペテルブルクで起こるほとんどすべてのことを説明するときに、このフレーズを口にする。この街の良い点も悪い点も含めて、すべてだ。
このフレーズは、2008年にアレクサンドラ(アリフィナ)・ゴルベワが考え出した。彼女は、文学を専攻し、サンクトペテルブルクに住み、ビデオゲームの脚本を書き、漫画を描いている。フレーズは当初、この街特有の天気を指していたが、やがてその意味するところは無限に広がった。
"Натянуть сову на глобус"(「フクロウを地球儀に被せる」)
事実の歪曲、こじつけ、疑わしい論拠、情報操作を意味する。SF作家アンドレイ・ラザルチュクとミハイル・ウスペンスキーの小説『怪物の目を覗け』におけるフレーズに基づく。