
食べ物に関することわざ10選

1. 「農家は住まいよりもピローグゆえに心楽しい」«Не красна изба углами, а красна пирогами»
(“Ne krasna izba uglami, a krasna pirogami”)
要するに、見た目よりも、心のこもった歓待のほうが大事ということ。古よりピローグは、ロシア料理のなかで最も人気のある料理の一つと考えられてきた。ボリュームたっぷりのもの、甘いもの、そして、野鳥、魚、肉、ベリー、果物、野菜を詰めたものなど、実にたくさんある。ホストの歓迎ぶりに注目したときは、このことわざを使うことができるだろう。
2. 「パンはすべての頭」«Хлеб – всему голова»
(“Hleb vsemu golova”)
パンが食卓の主役であることを思い出させたいときなどに、この表現を使う。かつては、小麦やライ麦を栽培し、粉を挽いて「カラヴァイ」(大きな円形のパン)を焼くのは、簡単なことではなかった。作物が不作なら、飢饉になりかねなかった。そういう大事なパンだから、それぞれの料理に添えられ、お客や新婚夫婦には、敬意のしるしとして配られた。
3. 「カラーチを食べたいなら、暖炉の上に寝そべるな」«Хочешь есть калачи, не сиди на печи»
(“Khochesh est kalachi, ne sidi na pechi”)
「カラーチ」は、小麦粉から作られ、弓形の取っ手のついた、錠前形の焼き菓子だ。非常に人気があり、皇室の食卓にも出された。カラーチの品質は、厳しく監督されており、一定の重さがあって、よく焼かれていなければならなかった。しかし、このふわふわのパンは、誰もそう簡単には手に入れられなかった。そこで、怠け者には、こう仄めかしたわけだ。カラーチを食べたいなら、まず一生懸命働いてお金を稼ごう、と。

4. 「すきっ腹では歌も歌えぬ」«Натощак и песня не поется»
(“Natoshchak i pesnya ne poetsya”)
これはよく分かる。空腹のときは、何もしたくない、歌ったり踊ったりさえしたくない。しかし、十分食べた人は、良く働く覚悟があるし、良く休む用意ももちろんある。
5. 「歩いただけ食べられる」«Как потопаешь, так и полопаешь»
(“Kak potopaesh, tak i polopaesh”)
食卓に何が出るかは、その人の働き方によって決まる。このことわざには比喩的な意味もある。つまり、結果は、費やした努力によって決まる、ということだ。
6. 「一日中台所であくせくしたのに食べ物は何もない」«Стряпает день до вечера, а поесть нечего»
(“Stryapaet den' do vechera, a poest' nechego”)
怠け者の主婦について、このことわざを用いることがある。しかし、このことわざは、比喩的な意味でも使われる。たとえば、肝心なことを忘れて、無駄なおしゃべりや空騒ぎに時間を費やす人について、こう表現する。
7. 「シチーとカーシャはわれらの糧」«Щи да каша – пища наша»
(“Shchi da kasha – pishcha nasha”)
シチーはスープ料理で、カーシャはお粥。農民の食事は、シンプルでボリュームたっぷりだった。食事の基本は、さまざまな穀物のお粥と野菜スープだ。肉は高価だったため、食卓に並ぶことは滅多になく、祭日にしか食べられなかった。
8. 「塩とパンがなければまともな話はできない」«Без соли, без хлеба – худая беседа»
(“Bez soli, bez hleba – hudaya beseda”)
塩がなければ味気ないし、パンがなければ満腹にならない。それは、不親切な主人のせいだ――。昔から、客人は心から歓迎され、食卓に招かれるべきだと信じられてきた。客人への友誼と尊敬の念がなければ、まっとうな付き合いはできない。
このことわざは、比喩的な意味でも使われる。つまり、温かさのない空虚な会話は、誰にも評価されない、ということだ。
9. 「満腹した者には飢えた者の気持ちは分からない」«Сытый голодного не разумеет»
(“Sytiy golodnogo ne razumeet”)
すべてを持っている人は、困っている人を理解することができない。あるいは、自分自身が同じ状況に陥るまで、他人の困難を理解できない。
10. 「他人の丸パンに大口を開けるな、早起きして自分で稼げ」«На чужой каравай рот не разевай, а пораньше вставай да свой наживай»
(“Na chuzhoi karavai rot ne razevai, a poranshe vstavai da svoy nazhivai”)
他人の成功を羨む人には、「他人の丸パンに大口を開けるな」としかアドバイスできない。何事も自分で達成しようと努力すべし。