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カルムイク伝統のお茶(レシピ)
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カルムイク人は、現在はロシア南東部に住むモンゴル系民族。そのカルムイクのお茶は「ジョンバ」とも呼ばれ、体を温めて、それだけで満腹感を与える。カルムイク共和国では、毎日この飲み物で始まるし、それなしの祝い事はない。また、このお茶には独自の祝日もある。5月の第3土曜日に祝われる「カルムイク茶の日」だ。
この飲み物をカルムイク人が飲んでいるのは、さまざまな遊牧民のおかげだ。その特長により、それはカルムイク人の民族文化の一部となっている。このお茶は、喉の渇きを癒し空腹を満たすだけでなく、治癒効果もある。圧縮した中国緑茶に、ミルク、塩、さまざまなスパイスを加えて作る。ちなみに、それらの材料は、カルムイク人の伝統的な生活様式を思い起こさせる。圧縮された茶は、あちらこちらへ長旅をしても崩れなかった。そして、水分が体内から失われないように、塩を加えて飲んだ。
歴史家ヤン・ポトツキーは、カルムイク人のお茶「ジョンバ」と、ヨーロッパ人に馴染みのある飲み物との違いに驚いた。
「カルムイク人が中国から取り寄せるお茶は、我々のものとはまったく違う。それは、まるでレンガのように硬い厚い板になっており、その上に、多数の文字が書かれた薄い紙が貼られている。カルムイク人は、このお茶をミルクとバターで煮出し、健康的で滋養強壮効果のある飲み物を作る」
カルムイク茶には多くの種類がある。例えば、軽く焼いた材料を入れる「フウルスン・ツェ」だ。これには、スパイスのほかに、炒めた小麦粉が加えられる。また、肉を用いた「マフタ・ツェ」もある。羊の肋骨のスープに、お茶と他の材料を加える。そして、肉は、茹でたジャガイモといっしょに別に出される。「ジョンバ」は古典的なスタンダードとみなされている。
材料(4人分)
- 圧縮した緑茶 100㌘
- 水 1㍑
- 牛乳(クリームでも可)1㍑
- バター 50㌘
- 塩 小さじ2杯
- スパイス 黒胡椒5~6粒、ナツメグ(月桂樹の葉を加えても可)
レシピ
- 水に圧縮した緑茶を一かけら入れ、中火で沸騰するまで加熱する。火を弱めて、軽くかき混ぜながら、さらに20分間煮る。
- 次に、温かい牛乳を加え、10分後に塩、黒コショウ、ナツメグ、月桂樹の葉で味付けする。調理中は、飲み物を時計回り(太陽の方向〈*北半球では、日時計の影は、太陽の動きとともに左から右へ、右回りに動く〉)にかき混ぜなければならない。
- お茶は、15分間浸しておく。
- 一片のバターを添える。
- 「ジョンバ」は、塩味のチーズとボルツォク(カルムイク版ドーナツ)といっしょに出される。