「クリンジ」という言葉がロシア語に入った経緯は?

ロシア・ナビ (写真: Peter Dazeley/Getty Images)
ロシア・ナビ (写真: Peter Dazeley/Getty Images)
「Кринж」(クリンジ)という言葉は、英語のスラングの「cringe」が起源だ。話者が誰かまたは何かに対して非常な気まずさ、さらには恥ずかしささえも感じる状況を表す。「見ていられない」「恥ずかしい」「ドン引きする」「イタい」といったところだろう。英語から世界中の多くの言語に浸透し、国際的なものとなった。ロシア語は、「cringe」を取り入れただけでなく、新たな命を吹き込んだ。

 「クリンジ」の最初の使用例は2019年に遡るが、近年広く使われるようになった。「クリンジ」は、現代ロシアの若者のスラングとして定着しており、「кринге」(クリンゲ)という新しい発音も生まれた。これは、英語の綴り「cringe」をなぞったものだ。

 「クリンジ」がどれほどロシア語化されたかは、これを基にさまざまな新語が形成されていることで明らかだ。文字通り、ロシア語のあらゆるレベルに浸透していると、ワレリー・シュリギノフ氏は言う。彼は、文学博士候補(準博士)で言語学者であり、ポータルサイト「Gramota.ru」の作者でもある。 

 この言葉を基に、名詞「кринжатина」(krinzhatina)、形容詞「кринжовый」(krinzhovyy)、動詞「кринжануть」(krinzhanut')が創られた。

 さらに、この言葉は今や、インターネットのチャットだけでなく、権威あるメディアの見出しにも見られるようになっている。 

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