現代ロシア語には、中立的な呼びかけ表現が存在しない
「сударь」、「сударыня」、「товарищ」といった呼称は使われなくなり、新しい呼称も生まれていない。
帝政ロシアの時代、人々は身分によって互いに呼びかけていた。「господин(紳士)/госпожа(婦人)」「сударь(旦那)/сударыня(奥様)」などだ。この制度は、すべての人が平等になったソ連時代に崩壊した。
その後、共通の呼びかけとして「товарищ(同志)」という言葉が使われるようになったが、ソ連崩壊後、この言葉は使われなくなった。
現在、ビジネスの場では「господин/госпожа」が使われることもあるが、日常的な場面では不自然に聞こえる。そのため通常、ロシア人は呼びかけの代わりに、単に「Извините(すみません)」と言ってから質問をするのである。