魚にまつわるロシア語の慣用表現7選
1.Как рыба в воде(直訳:「水の中の魚のように」)
ある環境や状況の中で、まったく違和感なく、自然体でのびのびと振る舞えることを意味する。
2.Ловить рыбу в мутной воде(直訳:「濁った水で魚を釣る」)
他人が困難に直面している状況でも、それを利用して自分の利益を得ようとすることを意味する。
この表現は、ラテン語からロシア語に入ってきたと考えられている。古代ローマの詩人オウィディウスの作品には、「Turbato melius capiuntur flumine pisces」(濁った川では魚がよく釣れる)という言葉が登場する。
もともとは、水中に暮らす魚の習性を観察することから生まれた表現である。実際、水が濁っていると魚は周囲がよく見えなくなるため、餌を使って簡単に釣ることができるわけだ。
ロシア文学では、この表現はミハイル・サルトゥイコフ=シチェドリン(1826~1889年)の風刺作品を通じて広く定着した。
彼は『善意の言葉』(Благонамеренные речи)の中で、抜け目のない弁護士や金融投機に手を染める人々について、次のように描いている。
「いかがわしい商品を扱う者も、濁った水で魚を釣る者も、その実態が世間に知られれば破滅するような者も、みなここに救いと助言を求めてやって来る」
3.Ни рыба, ни мясо(直訳:「魚でも肉でもない」)
「Ни то, ни сё」(直訳:「あれでもこれでもない」。意味:「どっちつかず」「中途半端」)という表現と同じ意味だ。
人や物事について、これといった特徴や長所がなく、平凡で、特に優れたところもない場合に使われる。
4.Биться, как рыба об лёд(直訳:「氷に体を打ちつける魚のようにもがく」)
ある目標を達成しようと、持てる力をすべて注いで懸命に努力しても、結局は成功しないことを意味する。
言い換えれば、「シーシュポスの労働」ということだ(*シーシュポスは、ギリシア神話に登場する人物。あと少しで山頂に届くところまで岩を押し上げると、岩は転がり落ちてしまい、この苦行が永遠に繰り返される)。
5.Нем, как рыба(直訳:「魚のように口がきけない」)
何も言わず、黙り続けることを意味する。
6.Опять за рыбу деньги(直訳:「また魚の代金の話か」)
すでに何度も話し合ったり、繰り返し話題にしたりしてきたことを、また持ち出す場合に使われる表現だ。
7.Рыба гниёт с головы(直訳:「魚は頭から腐る」)
問題は常に「上から」、上層部から始まる、という意味。
この表現も、古代の文献からロシア語に入ってきたもので、たとえば、最も古い用例の一つは、古代ギリシャの著述家プルタルコスの著作に見られる。