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ロシアのツァーリたちの帽子、現存7点

ロシア・ナビ(写真:kanokruedee pattanawichaikul/Getty Images, ウラジーミル・ヴィャトキン、セルゲイ・ピャタコフ、イリヤ・ピタレフ、ラミル・シトディコフ、ウラジーミル・ヴドヴィン/Sputnik)
17世紀まで、ロシアのツァーリたちの王権の象徴だったのは冠ではなく、帽子だった。宝石飾りと毛皮の縁取りが特徴的なこれらの被り物は、現在、モスクワのクレムリン博物館で保管されている。

1.モノマフの帽子

ウラジーミル・ヴィャトキン / Sputnik

 ロシアのツァーリたちのレガリアとしては、最も有名な品。伝説によると、ビザンツ皇帝コンスタンティノス9世モノマコスが孫にあたるウラジーミル・モノマフに贈ったとされる。しかし歴史学者によると、この帽子は13世紀末~14世紀初頭にジョチ・ウルスの宝飾職人がモスクワ大公イワン・カリターのために作ったものと推定される。「黄金の帽子」の記述の初出も、カリターの遺書である。

 1547年、イワン雷帝はロシアのツァーリとして初めて、モノマフの帽子を身に着けて即位した。その後、1682年まで儀式の際に用いられた。モノマフの帽子を最後に被ったのはピョートル1世の兄、イワン5世である。

2.第二正装のモノマフの帽子

セルゲイ・ピャタコフ / Sputnik

 イワンとピョートルは2人同時に即位した(https://ru.gw2ru.com/read/247543-edinstvennyj-raz-koronovali-dvuh-carej)ため、レガリアはもう1セット必要になった。こうして、ピョートル用に第二正装のモノマフの帽子が作られた。

 1721年、ピョートル1世はツァーリの即位式の伝統を廃し、新たに戴冠式を導入した。同時に、自らの手で後の皇后エカテリーナ1世に戴冠している。

 ピョートルが被った第二正装のモノマフの帽子は、数十年後にタヴリーダの帽子と呼ばれるようになった。エカテリーナ2世の治世下の1783年にクリミアがロシア帝国の支配下に入り、古い地名のタヴリーダと呼ばれたことに由来する。

3.カザンの帽子

イリヤ・ピタレフ / Sputnik

 話をイワン雷帝の時代に戻そう。1552年、イワン雷帝はモスクワ大公国にカザン・ハン国を併合し、カザンの帽子がレガリアに加わった。イエローサファイアを配したこの多層の黄金の帽子は、カザンの宝飾職人たちによって作られたというのが定説である。

アレクサンドル・リトフチェンコ『イヴァン雷帝、イギリス大使ホーシーに宝物を示す』
ロシア美術館

 この帽子は、現在のカザンの市章にも描かれている。

パブリックドメイン

4.アストラハンの帽子

Sputnik

 アストラハンの市章にも、帽子が描かれている。この帽子は1627年、ロマノフ王朝最初のツァーリであるミハイル・フョードロヴィチのために制作された。「アストラハンの帽子」と呼ばれるようになったのは18世紀末のことで、それまで目録では「フリャススカヤ」と呼ばれていたが、これは西洋風のデザインであることに由来した(かつてルーシでは、イタリア人をフリャジンと呼んだため)。

パブリックドメイン

5.シベリアの帽子

 別名「アルタバスの帽子」。アルタバスとは、金糸を使ったブロケード生地のことで、この生地でツァーリの礼服が作られた。この帽子は1684年、儀式に用いる第三正装用としてイワン5世のために織られた(第一正装がモノマフの帽子、第二正装がピョートル1世の帽子)。アルタバスの帽子は唯一の、金細工ではなく布製の帽子である。

シベリア・ツァールストヴォ(シビル・ハン国)の紋章。
Lobachev Vladimir (CC BY-SA 4.0)

 19世紀のロシア帝国の大紋章の中で、アルタバスの帽子はシベリア帝国の紋章の上に位置したため、「シベリアの帽子」というステータスを得た。

6.イワン5世のダイヤモンドの帽子

ラミル・シトディコフ / Sputnik

 1687年、イワンとピョートルのために武器庫の職人たちはペアの「ダイヤモンドの帽子」を作った。制作にあたっては、古い装飾品を解体した。いずれもデザインはモノマフの帽子を模しつつ、当時流行のバロック様式を取り入れた。

 イワン5世の帽子は鉄製の二重の骨組みで構成されており、ダイヤモンドが惜しみなく散りばめられている。頂にはトルマリンが飾られている。

7.ピョートル1世のダイヤモンドの帽子

ラミル・シトディコフ / Sputnik

 ピョートル1世の帽子はイワン5世のものより小さく軽量だが、より高価である。ダイヤモンドをはじめ、使用されている宝石のサイズは大きめとなっている。

 もっともピョートル1世は、この帽子をほとんど被っていない。

 他の帽子と異なり、ダイヤモンドの帽子は紋章にも用いられていない。