初の飛行服の開発史

ロシア・ナビ(写真:パブリックドメイン、Saranwat_T/Getty Images, Academy of Science archive, Semyon Alexeev 'Spacesuits yestersay, today, tomorror'/'Znanie' publications, 1986)
ロシア・ナビ(写真:パブリックドメイン、Saranwat_T/Getty Images, Academy of Science archive, Semyon Alexeev 'Spacesuits yestersay, today, tomorror'/'Znanie' publications, 1986)
高高度飛行を躍進させた科学技術

 最初の飛行服がロシアで開発されたのは、宇宙開発が始まるより以前の、1930年代だった。

 上空8千メートル以上の高高度を飛ぶパイロットたちは、目眩や、時には失神といった症状を医師に訴えるようになった。

 こうした課題に世界中の科学者が取り組んだ。例えばイギリスでは、高高度での潜水服の使用が提案された(なお、露語で高高度飛行服や宇宙服を意味する“スカファンドル”とは、フランス語で潜水服を意味する)。

パブリックドメイン エヴゲニー ・チェルトフスキー
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 一方、成層圏での飛行記録を狙っていたソ連では、独自の手法を追究した。課題に取り組んだのが、飛行医学研究所のエンジニアだったエヴゲニー ・チェルトフスキーだった。

 当初は、気密式の特殊なコクピットの開発に注力したが、パイロットの体調を維持するには、それでは不十分だった。

パブリックドメイン 「Ch-3」スーツを着用したパイロット
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 チェルトフスキーが最初の飛行服を開発したのは、1931年。この「Ch-1」は気密式のツナギで、視界用の小さなガラスがはめ込まれたヘルメット付だった。高高度まで上昇すると飛行服の中に空気が送られて気圧を調整し、パイロットを減圧から保護する。ただ、この飛行服の中では手足を動かせなかった。

 この反省を活かした「Ch-2」では膝と肘の部分に稼働可能なジョイントが設けられた。

 チェルトフスキーは約10年の間に7種類のプロトタイプを開発している。こうしたモデルには吸収力の高い保温下着、ゴム膜の層、肩部分のジョイントなどが追加されていった。1937年頃になると、飛行服の形状は後にガガーリンが宇宙飛行時に着用したものにかなり似てきた。

 セルゲイ・ピャタコフ / Sputnik ガガーリンの宇宙服
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 後にチェルトフスキーは異なるモデル、例えば超音速飛行用の飛行服もテストしている。さらに進化して宇宙服が誕生するのは1950年代末。SK-1というモデルはガガーリンよりも前に宇宙を経験している。宇宙船には犬とともに、SK-1を着せられたマネキンが乗っていた。