帝政ロシア最大のダツァンを知るための5項目
1.欧州初の仏教寺院
グンゼチョイネイ寺院(ダツァン)の建設は、ブリヤートのラマ僧アグワン・ドルジエフの功績によるものだ。1900年に建設を許可したニコライ2世は、以後、ロシアの仏教徒は双頭の鷲の庇護下にあると宣言した。15年後に完成し、信徒に開かれた。
設計を担当した建築家ガヴリール・バラノフスキーは、チベットやブリヤートの伝統的寺院建築と、北方モダン・スタイルを融合させた。場所は大ネフカ川の近くが選ばれた。川のほとりは瞑想向きの環境で、悟りに近づけると思われた。なお、寺院の名称は、「慈悲深き聖なる教えの源」と訳される。
このダツァンは、欧州で最初の仏教寺院であり、また同時に、もっとも高価でもある。外装はハンコ半島産の赤紫色の花崗岩で覆われており、その色合いから「アメシストのダツァン」と呼ばれた。
2.ニコライ・リョーリフがデザインしたステンドグラス
ロシアの有名な画家ニコライ・リョーリフは、3階部分の装飾を行った。レーリヒの下絵によるステンドグラスに描かれているのは、仏教の8つのシンボル、すなわち金魚、蓮の花、法螺、法輪、宝傘、宝瓶、旗、そして8つのスポークを持つ法輪である。
3.冬至に輝く仏像
仏像は1913年、シャム国王ラーマ6世から寄贈された。革命後にダツァンは略奪し尽くされ、仏像も失われた。一説によると、仏像があまりに重く台座から動かないので、仏僧たちが宝物を隠しているに違い無いと盗賊は考えたらしい。ようやく仏像を倒したが、中は空だった。盗賊たちは仏像の破片を付近の池に捨ててしまったという。
1994年、新たに5mの金色の仏像が置かれた。年に一度、冬至の日にステンドグラスから差し込む太陽光で、仏像は金色に光り輝く。
4.最北の仏教寺院
長年にわたり、ペテルブルクのダツァンは世界最北の仏教寺院とされてきたが、2014年、サハ共和国に建立された寺院にその座を明け渡した。
5.ブリヤート料理を提供
ダツァンの入口は2頭の石の獅子像が守り、敷地内にはマニ車、雪獅子をあしらった蓋付きの、バイプルと呼ばれる大香炉など、さまざまな物が置かれている。
僧や弟子たちによるダツァン案内もあるが、心だけでなく腹も満たせるのが、この寺院の特徴だ。ダツァン付属のカフェが営業しており、ブリヤート料理が提供されている。ふっくらした肉入りボーズや、食べ応え十分のホーショールなど 、数々の品を味わえる。