自由の女神とエッフェル塔の素材はロシア製?

ロシア・ナビ(Photo: Nikada, zoom-zoom, bjdlzx/Getty Images)
ロシア・ナビ(Photo: Nikada, zoom-zoom, bjdlzx/Getty Images)
18世紀、ロシアは世界屈指の金属輸出国だった。ウラルで膨大な埋蔵量の鉄鉱床が発見されたのである。ニジニ・タギル製の屋根葺き用鉄板はロンドンの多くの建物に使用され、ウェストミンスター宮殿も例外ではなかった。約200年にわたって、ウラル製の鉄は世界中に輸出された。

 フランスはアメリカ独立革命100周年の記念に、自由の女神像を贈る事を決定。銅製の女神像はフレデリック・オーギュスト・バルトルディが制作し、内部の鉄製の骨組みはギュスターヴ・エッフェルが設計した。エッフェルは後にエッフェル塔の設計を行う人物だ。彼は自由の女神像の制作に携わるうちにウラル製の鉄の上質さを確信し、塔にも用いた。こうしてロシアの鉄は、まずはアメリカのシンボルの骨組みに使われ、後にフランスのシンボルに使われることになったのである。1884年夏に女神像の制作が完了し、翌年、350のパーツに分けられて海路アメリカへ輸送。1886年10月28日に除幕式が行われた。

 同じ頃、ギュスターヴ・エッフェルは塔の構想に取り組んでいた。塔のプロジェクトもまた、革命100周年に向けてのものだった。ただし、こちらはフランス革命である。コンペティションの結果、エッフェルの案が選ばれた。

 「フランスは世界で唯一の、300㍍のフラッグポールを持つ国になる!」

 とエッフェルは宣言し、リベットに至るまで足りるだけのウラル製の鉄を発注した。エッフェル塔は1889年に竣工。当初は20年後に解体される予定だったが、フランス人や観光客に愛され、さらにウラル製の鉄の上質さも相まって、エッフェル塔は今も健在である。

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