ロシアのバレエ衣裳、300年間の変化(写真特集)

ロシア・ナビ(写真:イリヤ・ナイムシン、アレクセイ・ニコルスキー/Sputnik)
ロシア・ナビ(写真:イリヤ・ナイムシン、アレクセイ・ニコルスキー/Sputnik)
チュチュのようなスカートは、いつ登場したのか?トゥシューズでステージに上がった男性ダンサーは?皇后の不興を買った衣裳とは?

バロックの衣裳

ドミトリー・セレブリャコフ / TASS バレリーナ、ガリーナ・ウラーノワのトウシューズ
ドミトリー・セレブリャコフ / TASS

 17世紀ロシアにおける初期のバレエは、芝居の幕間に上演されるものだった。動きは、伝統的な舞踏会用ダンスとほとんど違いはなく、ダンサーの衣裳は、当時としては一般的な晴れ着とよく似た様式だった。

 それぞれの役用の衣裳が登場するのは18世紀初め、バレエが個別の演目として成り立ってきた時期である。振り付けが複雑になったことで、男性用の舞台衣裳は軽量になり、女性用の衣裳はより露出も多くなった。

パブリックドメイン バレリーナ、リュボーフィ・エゴロワ ― 振付家マリウス・プティパと作曲家チェーザレ・プーニによるバレエ『青いダリア』の、舞踊家パーヴェル・ゲルトによる再演にて。
パブリックドメイン

 短いスカートを初めて用いたのは、フランスのダンサー、マリー・カマルゴ。1730年、パリでのことであった。彼女は帝室劇場でも公演したため、同様の衣裳はロシアの女性ダンサーにも広まった。

アンピール様式

MAMM/MDF/russiainphoto.ru プティパのバレエの踊り手の肖像。
MAMM/MDF/russiainphoto.ru

 19世紀初頭にアンピール様式が流行し、半透明で軽やかなドレスがモードの中心となった。クリノリンを使った大掛かりな装いに代わり、古代ギリシャのチュニックにならった、水流を思わせるデザインの衣裳が制作されるようになった。

 ヒールつきの靴は、次第に古代ローマっぽいサンダル、もしくは靴底が平らなサテン生地の履物に置き換わっていった。

 こうした履物は美しく長いリボンで固定したが、これが後にトゥシューズとなる。

チュチュとトゥシューズの始まり

サンクトペテルブルク国立演劇音楽博物館/russiainphoto.ru バレエ『レ・シルフィード』の一場面
サンクトペテルブルク国立演劇音楽博物館/russiainphoto.ru

 初めてチュチュとトゥシューズを身に着けての踊りを披露したのは、イタリアのマリー・タリオーニ、1832年のことであった。

 ロシアでも、マリウス・プティパのバレエでチュチュが使われた。

 プティパはピルエットやフェッテなど、難易度の高いジャンプや回転をともなう技を演目に加えた。スカートの丈は更に短くなる。

 19世紀当時は、男性ダンサーもトゥシューズを履いた。ダンサーのニコライ・ドマショフは1888~1889年にボリショイ劇場でこうした演目を披露している。

モスクワ国立振付アカデミー ダンサーのニコライ・ドマショフ
モスクワ国立振付アカデミー

アヴァンギャルドと現在の衣裳

 20世紀初頭、バレエのコスチュームはさらに大胆になった。1911年、プリンシパルのヴァーツラフ・ニジンスキーは初めて身体に密着したトリコットの衣裳でステージに立った。

パブリックドメイン ヴァーツラフ・ニジンスキー
パブリックドメイン

 この大胆な衣装のために、ニジンスキーは帝室劇場での地位を失った。マリヤ・フョードロヴナ皇后が観劇しており、ニジンスキーの衣裳がその不興を買ったのである。

 一方、バレエの技術が向上するにつれて、ダンサーの衣裳は次第にシンプルになっていった。

ハンス・ナトゲ/MAMM/MDF/russiainphoto.ru バレエの一場面、1910〜1915年
ハンス・ナトゲ/MAMM/MDF/russiainphoto.ru

 ソ連ではダンスベルト、トリコット、腰部分のみを覆うキュロットなどでステージに上がることも多かった。バレエ『スパルタクス』では、男性ダンサーたちは鎧の要素を取り入れた腰布で出演している。

ユーリ・サドフニコフ/MAMM/MDF/russiainphoto.ru マリス・リエパとマリーナ・コンドラチエワ ― バレエ『スパルタクス』の一場面にて
ユーリ・サドフニコフ/MAMM/MDF/russiainphoto.ru

 現在の衣裳デザイナーは、特定の様式といった枠にはとらわれない。

 『白鳥の湖』や『眠れる森の美女』では、バレリーナたちは短いチュチュで踊る。

 膝まであるふんわりしたスカートは『ジゼル』で見られる。クラシックバレエの男性パートはトリコットや、コスチュームの上の部分であるジャーキンを着用する。

イゴール・エゴロフ / Sputnik 白鳥の湖
イゴール・エゴロフ / Sputnik

*この記事のフルバージョンは、Culture.Ru上でロシア語版を公開中。