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古代ロシアの奇妙な料理7選
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ペチョルスキーの塩漬け魚「腐臭付き」
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魚はロシアの食卓にもよく出てくる食材であった。狩猟と違って魚の捕獲には制限がなかったため、たとえば農民も昼食に鮭やチョウザメ、スズキ、あるいは近くの貯水池に生息しているものによって、より高級な魚を捕まえることができた。
ペチョルスキーの塩漬けを作るのには、春の産卵に泳いでくる魚が利用された。内臓を取り出し、洗い、エラを取り除き、中にたっぷりの塩を入れ、それを樫の木の樽に背中を下にして入れ、さらに塩をふりかけ、イラクサか松ぼっくりを並べる。樽に蓋をし、暖かい場所に置く。数日して、魚から「汁」が出てき始めると、上に重石を乗せ、涼しい地下に置いた。すると夏の終わりには、「香りのある」発酵した魚が出来上がった。
魚のジジャ(汁)
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ロシア北方のアルハンゲリスク州では発酵させた魚の料理がもう一つある。もっともこちらはソースである。田舎の住民たちは、地面に大きな穴を掘り、底と周囲に葉を敷き詰め、そこに川魚を入れ、葉で蓋をして、上から土をかぶせた。数ヶ月後、この穴を掘ったときには、魚は液体に「浮いた」状態になっていた。この魚の汁を穴からバケツで救ったのである。
現在、このレシピは野蛮なものに感じられるが、多くの国々で広く食されていたものである。もっとも有名な例を挙げるとすれば、それはグレコローマン料理の「ガルムソース」(魚醤)である。これも魚を陽光の下で数ヶ月間、発酵させることで得られるソースである。また今では広く知られる現代版のウスターソースも一例である。
ホタルイで作るパン
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沼地では春になるとホタルイのパンが作られた。使われたのは、砂糖とスターチがたくさん含まれた地下茎である。このホタルイを細く切って乾燥させ、それを小麦粉にして、パンを焼いた。
第二次世界大戦時には、このパンが兵士たちを飢えから救った。
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ハマアカザの粥
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ハマアカザはロシアではどこにでも生えている雑草で、不作のとき、人々はこれを別の食材の代わりに使った。
そしてそれは正しいやり方であった。春に採集したハマアカザにはビタミンやミネラルが豊富に含まれている。キヌアと同じアカザ属の植物で「野生のほうれん草」とも呼ばれている。いくつもの種類があるが、その中には苦くて、毒を持ったものもある。
ハマアカザを使った料理には、カツレツ、スープ、粥などがある。ハマアカザの粥は牛乳で煮て作る。味はそばの実の粥に似ている。
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樹皮の粥
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もう一つ、北方地域の人々を飢餓から救った料理がある。木―松や白樺が多い―から樹皮を剥がし、内側の薄い樹皮を食べたのである。白樺の樹皮は少し硬いため、細かく挽いて、煮た。樹皮の粥はセモリナ粉の粥に似ているが苦味が特徴である。
ポロトク―ガチョウのミイラ
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農民たちは食材を保存するためにありとあらゆる手段を用いた。そのうちの一つが「ポロトク」である。ガチョウを切って、骨を取り出して、スパイスと一緒に樽に入れ、上から硝酸アンモニウムを注ぎ、密閉した状態で、秋から春まで置いておくのである。春になると、ガチョウを取り出し、燻製にして、テーブルに出した。それは乾燥したかなり硬い肉であった。
雄鶏のトサカ
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これは19世紀まで、裕福な人だけが食べることのできた料理である。しかも、雄鶏の鶏冠の販売を特別に行なっていたのはロストフとヴォログダだけであった。これらの都市では雄鶏の加工が非常に盛んで、大都市に大量の鶏冠を供給することができた。ただし、新鮮な状態で届けられるよう、鶏冠の供給は冬だけしか行われなかった。
1度に届けられるのは20〜30個。柔らかくするため、数時間、ハーブと一緒に壺に入れ、煮た。鶏冠には鶏肉が詰められたり、ベリーソースを添えて食されることもあった。