ソビエト時代のモスクワにおけるプロパガンダ・ポスター(写真特集)

モスクワ博物館/ボンボラ出版社提供
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帝政ロシアでは、ポスターは、もっぱら広告目的に使われていた。看板、ポスター、慈善募金への呼びかけなどだ。しかし、1917年の革命の後、ソビエト政府は、モニュメンタルなプロパガンダの構想を採用、承認した。こうして、鮮明でまったく新しい前衛的なスタイルのポスターが、プロパガンダの主な手段と武器になった。

 クセニア・ラピナとナタリア・アファナシェワによる新著『ポスターで見るモスクワ、モスクワのポスター』(ボンボラ出版)では、モスクワ美術館のコレクションから、150点以上の作品が紹介されている。ソビエト政権初期のポスターを、ここでいくつかご紹介しよう。ソビエト時代全体で最も有名なポスターの一つは、赤軍への入隊を呼びかけるものだ。「君は志願兵として登録したか?」。作者は、画家ドミトリー・モール。1920年。

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  内戦中は、軍事的、政治的なアジテーションが多数行われた。ウラジーミル・フリードマンのポスターは、モスクワへ進軍する白軍への団結を呼びかけている。「敵はソビエト・ロシアの要であるモスクワを占領しようとしている。敵は殲滅されなければならない。同志諸君、前進せよ!」(1919年)。
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  一部のポスターでは、革命前の綴り(アルファベットの改革以前)がまだ見られる(そのため、文字「i」がある)。このポスターは、「プロレタリア独裁」が成立した過去1年間を祝い、「万国の労働者よ、団結せよ!」と呼びかけている。
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  主要な祝日の一つは、5月1日の労働者の日、「メーデー」であり、この日を記念したポスターが数多く作られた。 
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  ソビエト政権は、フェミニズムを積極的に推進した。女性は今や、正真正銘の、社会の一員である。彼女は、投票し、働き、学ぶことができる。下は、ポスター「十月革命が女性の労働者と農民にもたらしたもの」。女性たちが「家庭内奴隷」の状態から救われ、幼稚園や成人向けの学校などが設立された様子を伝えている。
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 プロパガンダ・ポスターは、識字率向上にも注力。すべてのソビエト国民に学習するよう呼びかけた。「読み書きができないのは、目が見えないのと同じ。いたるところで失敗と不幸が待ち受けている」
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 時とともに、ポスターの芸術的なスタイルは変化した。たとえば、グスタフ・クルツィスは、写真のコラージュをグラフィックと組み合わせて、画像の遠近感と比率を変えた最初の人物だ。クルツィスの最も有名なポスターの一つ、「5月1日 国際プロレタリア連帯の日」(1930年)。
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 「革命の勝利は労働者と農民の協力による」。重要な原則は、労働者と集団農民の団結である。それは間もなく最も有名なモニュメント『労働者とコルホーズの女性』を生み出すこととなった。
モスクワ博物館/ボンボラ出版社提供
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