ロシアの「双頭の鷲」には500年以上の歴史がある

Gateway to Russia (Photo: spacedrone808/Getty Images, mascaron.org)
Gateway to Russia (Photo: spacedrone808/Getty Images, mascaron.org)
ロシア最古の紋章「双頭の鷲」が、モスクワのクレムリンのボロヴィツカヤ塔にあることをご存知だろうか?歴史家たちは、これが作られたのは1490年だと考えている。

 この紋章の鳥は、イタリアの建築家ピエトロ・アントニオ・ソラーリのおかげで、クレムリンに登場した。彼は、石造りのボロヴィツカヤ塔の建設に携わっており、その簡潔なシルエットを、高さ15㍍のところで、3つのレリーフ(浮彫)で装飾した。 

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 1つは、頭上に剣を掲げた騎手を描き、2つ目は、ライオンと、翼をもつ蛇。3つ目は、双頭の鷲だ。それらはすべて、イワン2世の権力の象徴だとみなされている。すなわち、最初の2つは祖先から受け継いだもので、鳥の紋章が描かれた3つ目は、ビザンチン帝国(東ローマ帝国)から“飛来”した――イワン3世の花嫁で、東ローマ帝国の末裔であるゾイ・パレオロギナとともに。ゾイは、最後の皇帝コンスタンティノス11世の姪に当たる。

 双頭の鷲がイワン3世の国璽となったのは、1497年のことだ。そして、時とともに、双頭の鷲は、王権の象徴である王冠、王笏(おうしゃく)、権標(十字架の付いた黄金の球)を備えるようになる。東と西を向いた鷲の二つの頭は、権力を象徴している。

 3つの王冠――鷲の頭上に2つ、さらに鷲の上に1つ――は、国とその地域の主権を表す。王笏と権標は、国家統一の象徴だ。そして、蛇を退治する騎手は、悪に対する勝利と祖国の防衛を象徴する。

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