生活の知恵が詰まったロシアの諺10選
どんな状況においても…何らかの諺を引き合いに出すことができる。そこには、我々の祖先が何世紀にもわたって培ってきた経験が凝縮されている。
1.「Обжегшись на молоке – дует на воду」(「ミルクで火傷し、水を吹く」ー「羹に懲りて膾を吹く」に相当する)
つまり、何か悪い経験が身に沁みすぎて、過度に用心深くなることを指している。
2.「Любишь кататься – люби и саночки возить」(橇で遊ぶのが好きなら、橇を運ぶことも好きになれ)
ゆっくり休むには、まず一生懸命働かなければならない。
3.「Без труда не выловишь и рыбку из пруда」(苦労しなくては池から魚を釣りあげられない)
努力しなければ、何事においても成功することはできない。
4.「Не плюй в колодец, пригодится воды напиться」(井戸につばを吐くな。いつかは飲む時が来る)
人を傷つけてはいけない。将来、助けを得られなくなる。
5.「Поспешишь – людей насмешишь」(「急ぐ者は笑い者になる」ー「急いては事を仕損じる」などに相当)
拙速は誤りのもとだ。
6.「Обещанного три года ждут」(約束の履行を三年間待たされる)
この庶民の知恵は、『旧約聖書』の言葉から生まれたのかもしれない。「待ち望んで千三百三十五日に至る者は、まことに幸いである」(「ダニエル書」12〈新共同訳〉」。
諺の全文は次の通りだ。「約束の履行を三年間待たされたあげく、四年目に断られる」。これは、約束の実現を期待してはいけない、という意味だ。
7.「Делу время, потехе час」(仕事に時があり、遊びに時がある)
この諺は17世紀、ロマノフ朝の第2代ツァーリ、アレクセイ・ミハイロヴィチの治世に生まれたと考えられている。彼は、鷹狩りの規則に、「仕事に時があり、遊びに時がある」と記した。つまり、何事にも、それにふさわしい時があるということだ。
19世紀には意味が変わり、まず仕事や重要なことに注意を払い、それから娯楽について考えるべきだ、ということになった。
8.「За двумя зайцами погонишься – ни одного не поймаешь」(二兎を追う者は一兎をも得ず)
一度に複数のことを行うと、どれも失敗しかねない。
9.「Семь раз отмерь – один раз отрежь」(裁断する前に七回測れ)
何かをしたり決めたりする前に、まずは慎重に考えるべきだ。
10.「Один в поле не воин」(戦場では一人では戦士にはなれない)
助けがなければ対処できない状況もある。