「好奇心の強いバルバラは、市場で鼻をちぎられた」

キラ・リシツカヤ (写真: Shannon Fagan, Softulka/Getty Images; freepik.com)
キラ・リシツカヤ (写真: Shannon Fagan, Softulka/Getty Images; freepik.com)
“Любопытной Варваре на базаре нос оторвали”この不思議なことわざ、いったいなぜだろうか?

 もちろん、実際にバルバラという女性が傷つけられたわけではないし、鼻がちぎられたわけでもない。ただし、お金は…戻ってこなかったかもしれない。では、始まりから説明しよう。

 昔のロシアでは、「нос(鼻)」という言葉は、特別な木札やタグのことを指していた。その札には刻み目を入れて、借金、曜日、買い物など、覚えておくべきことを記していたのである。

 例えば、お金を貸した場合、貸し手と借り手の両方が自分の「鼻」に刻み目を入れた。そして返済が完了すると、その刻み目に横線を引いて消したのである。いわば、誰もが使える古代版スケジュール帳・メモ帳・計算機のようなものだった。読み書きができない人でも使えた。

 ことわざに出てくるバルバラは、あまりにも好奇心が強く、周りをイライラさせてしまうような人の象徴である。彼女はそのしつこい好奇心のせいで、大切な木札――「鼻」を取られてしまった。仕返し、または戒めとして。そして結果的に彼女は何も思い出せないまま、何も手元に残らなくなってしった。借金の管理も、大事な約束も。

 現在では、この表現は「過度な好奇心は思わぬ不幸を招く」という教訓として使われている。