世界最古の絨毯はロシアに所蔵されている
アルタイ山脈の氷に眠っていた、2500年前のパジリク絨毯。
世界最古とされるパイル絨毯が、ロシア・サンクトペテルブルクのエルミタージュ美術館に収蔵されていることをご存じだろうか。
この絨毯は2500年以上前に制作されたもので、1949年、ロシアとモンゴルの国境に広がるアルタイ山脈のパジリク古墳群から発見された。
パジリク文化はスキタイ・シベリア世界に属し、鉄器時代(紀元前6〜3世紀)に栄えた。極寒の気候と凍土によって、武器や衣服、宗教的遺物、ミイラなど、多くの出土品が驚くほど良好な状態で保存されている。
その中でもひときわ注目されるのが、このパイル絨毯だ。中央には蓮のつぼみが24個並び、周囲には鹿やグリフォン、騎手の意匠が織り込まれている。黄色、青、赤が織りなす鮮やかな色彩は、時を経てもなお力強い存在感を放つ。
起源については、研究者の間でいまだ議論が続いている。現在のイランからアルタイへともたらされた可能性、中央アジアで制作された可能性など、複数の説が提示されている。また、遠方から伝わった織物を、アルタイの遊牧民が独自に模倣した結果であるという見方もある。
パジリク絨毯は現在、エルミタージュ美術館の所蔵品として一般公開されている。