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ロシアではなぜ毎年夏になるとお湯が止まるのか?
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ロシアの都市に住む人々は、毎年夏になると、知り合いの家を訪ねてシャワーを浴びさせてもらったり、家で、鍋やバケツを使って、水を温める。それはすべて、ロシアでは夏に、10日間もの間、お湯が止まるからである。
ソ連時代からの伝統
ロシアでは、ほぼすべての都市で、毎年、夏の間に、給湯システムのチェックが行われる。
つい数年前まで、こうしたアパートの「断湯」期間は実に21日にも及んでいたが、今では10日間「だけ」という場合が多い。
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しかしこれまでずっとそうだったわけではない。夏季にお湯が止まるようになったのは、ソ連全土で、セントラルヒーティング(中央暖房)の設備が整った大型アパートの建設が大々的に始まった1960年代になってからのことである。
お湯の供給が途切れることなく行われるようにするためには、予防的な修理や検査が不可欠であり、お湯を止めることによる市民の負担が少ない夏の間にこの作業が行われるようになったのである。冬にお湯がないよりは、夏の方がまだ耐えられると考えるのは当然のことだろう。
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この給湯システムは現在もロシアで利用されている。そして現在の規定では、お湯が2週間以上止められることはなく、たいてい10日くらいにとどまっている。しかしこの期間は、隣り合う家同士で異なることもある。
お湯がない間、人々はどうしているのか?
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この苦境の切り抜け方は十人十色である。もっとも一般的な方法は、鍋でお湯を沸かし、桶を使って体を洗うというものである。一方で、親戚や友人の家を訪ねて行って、シャワーを浴びさせてもらうという人もいる。しかしこれができるのは、お湯が止まる期間が重なっていない場合に限る。
あるいはそのために、シャワーのついたスポーツジムの回数券を買うという人もいる。
そして、お湯なしの生活なんて絶対に耐えられない!という人たちは、アパートにボイラーをつける。