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サンクトペテルブルクの地下鉄の一風変わった駅7選
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1. アフトヴォ:地下の宮殿
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設計士はもともと、「クリスタル宮殿」のような駅を作ろうというアイデアを持っていた。46本の円柱が天井を支えているが、そのうちの30本は大理石、16本はキャストガラスで覆われている。
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デザインのテーマは、大祖国戦争時のレニングラードの防衛である。駅には「勝利」と題された巨大なモザイク画が飾られており、シャンデリアや照明には剣や月桂樹の冠、その他の勝利のシンボルを見ることができる。
ちなみに、2014年にこの「アフトヴォ」は、ガーディアン紙が選ぶ世界でもっとも美しい駅ベスト12にランクインした。
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またこの駅では映画の撮影が行われた。「シャーロック・ホームズとワトソン博士の冒険」で、ホームズが犠牲者の遺体を発見するのがこの「アフトヴォ」の車両基地である。もちろん、ストーリー上は、主人公たちはイギリスにいるのだが、「アフトヴォ」の車庫は赤ラインの駅の間に位置しており、イギリスの打ち捨てられた鉄道の線路の雰囲気を十分に醸し出している。
駅周辺の見どころ
- ピョートル・セメネンコ広場:散歩も楽しめ、最初のトラクターの記念碑を見ることもできる
- 「アンナ・アフマートワー銀の時代」博物館:銀の時代の有名な女流詩人について知ることができる
- アフトヴォ・サーカス:子連れで楽しめる場所
2. ヴィボルグスカヤ:冬の庭園
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「ヴィボルグスカヤ」はペテルブルクで植物園のある唯一の駅である。庭には、50種以上の観葉植物があり、そのうちのいくつかは駅が開業した1975年からここにある。ここに植物園が作られたのは、今でも植物を見守っている地下鉄職員のおかげである。ちなみにこの中には乗客が持ってきた植物もあるという。お天気の良い日には、駅はとても鮮やかである。
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地下部分は石灰質化学沈澱岩であるトラバーチンで区切られている。階段を上るとそこには、1917年の革命に参加した労働者たちを描いた大きな絵が飾られている。駅の中はごく普通の作りになっているので、すぐに上に出て、植物園を見るとよい。
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駅周辺の見どころ
- 聖サンプソン大聖堂:1728年に建設された街でもっとも古い聖堂を見てみよう
- サンプソン庭園:静寂の中で散策しよう
- 「ルートヴィヒ・ノーベル」工場の街:有名なアルフレッド・ノーベルの兄が住んでいた地区の建築物を堪能しよう
3. ゴリコフスカヤ:街の中心部にあるUFO
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ペテルブルクでもっとも宇宙的な駅。大きなUFOの形に作られている。「ゴリコフスカヤ」駅がこのような形になったのは最初からではない。駅は1963年に開業したが、その当時は丸い屋根のついた普通のパビリオンの形をしていた。ソ連時代、上のホールにはカフェがあり、軽い食事をしたり、シャンパンを飲むこともできた。2009年になって駅は修復され、UFOの形になった。
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設計士らは、上のホールの屋根をクレーターのある月のように作ろうと考えた。しかし、地元の人々はこのアイデアがよく分からず、月ではなく、牛の乳房だと考えている。
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駅周辺の見どころ
- うさぎ島とペトロパヴロフスク要塞:サンクトペテルブルクの歴史の起点
- サンクトペテルブルク・プラネタリウム:宇宙の世界にさらに深く浸り、星を眺めよう
- レンフィルム映画スタジオ:ロシア最古の映画会社の歴史を知り、映画を見よう
4. ゼニット:サッカーと深い関係がある駅
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この駅は、2018年のサッカーのワールドカップに向けて開業した。ワールドカップの最終ステージはロシアのサンクトペテルブルクで開催されたことから、この駅はサッカースタジアム「ガスプロム・アリーナ」のすぐそばにある。駅の名前はサンクトペテルブルクの主要なサッカークラブの名称にちなんでいる。「ゼニット」は、ペテルブルク市民たちの誇りである。
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ちなみに、駅にはもともと「ノヴォクレストフスカヤ」という別の名前が付けられていた。駅名はその後、改称されたのだが、地元の人々は今も古い名称で呼び続けている。
駅構内には、サッカークラブ「ゼニット」のカップが並べられている。1984年のソ連選手権の優勝カップ、それに2007年、2010年、2011年、2015年のロシア選手権のトロフィーもある。
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駅には濃紺の石が貼られている。外壁の被覆材に描かれた白い点はフィンランド湾の波を表している。
駅周辺の見どころ
- スタジアム「ガスプロム・アリーナ」:ペテルブルクのサッカー界の誇り。屋根がついたスタジアムで、6万8000人収容できる
- プリモルスキー勝利公園:並木道を散策し、公園中央にある大きな噴水を見よう
- 遊園地ディヴォ・オストロフ:家族で楽しい時間を過ごし、ジェットコースターに乗ったり、観覧車の上から街を一望してみよう。
5. アレクサンドル・ネフスキー広場2:鎖かたびらをつけた駅
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ペテルブルクの地下鉄でもっとも有鱗目的な駅である。壁は数百の金色の鱗でできた鎖かたびらのようにできている。壁は、列車が駅に近づくと美しい光を放つ。
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オレンジラインから緑ラインへの乗り換え通路には騎士が並んだ装飾がある。しかし、よく見ると、5人の騎士に対し、馬は4頭しかない。下絵の段階で、間違いがあったのだが、画家自身も気がつかなかったという。人々は、この作品を面白がり、「5人の男と4頭の馬」と名付けている。
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「アレクサンドル・ネフスキー広場2」駅の上のホールには、「氷上の戦い」と名付けられた巨大なモザイク画が架けられている。モザイク画の中央には、剣を振り上げ、ドイツ騎士団との戦いに向かうアレクサンドル・ネフスキーが描かれている。
駅周辺の見どころ
- アレクサンドル・ネフスキー大修道院:修道院の中の墓地に入って、作家のデニス・フォンヴィジン、学者のミハイル・ロモノソフ、改革者のセルゲイ・ウィッテなど有名人の墓を見つけよう
- 街の中心にある城壁:実際にはフェオドロフスカヤ聖母のイコン教会の一部である城壁の近くを散歩しよう
- ネフスキー大通り:アレクサンドル・ネフスキー広場でちょうど終わるネフスキー大通りを端から端まで歩いてみよう
6. アドミラルテイスカヤ:幽霊駅
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「アドミラルテイスカヤ」は地下86㍍に位置しており、世界でもっとも深い地下鉄駅の一つである。サンクトペテルブルクは沼地―柔らかい土壌の層に作られており、そこでトンネルを作ることはできないので、駅は深い地点に作られている。
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興味深いことに、駅のホールはトンネルよりも上にある。列車は駅に近づくにつれて坂を上り、その後スピードをあげて坂を下る。この設計案は1940年代に承認されたもので、これにより建設費用を節約することができた。そんなわけで、駅の最深部はトンネルの中にあるということになる。
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ちなみに、さまざまな問題により、「アドミラルテイスカヤ」は14年間もの間、開業できずにいた。開業は1997年に予定されていたが、実際には2011年になってようやくオープンした。この間ずっと、列車は「アドミラルテイスカヤ」には停車せず通過していた。そこで市民らは、この駅を「幽霊駅」と呼ぶようになった。
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駅は海をテーマにしている。ホールでは「海軍本部の創設」と題されたモザイク画を目にすることができ、入口には船を描いた絵が飾られている。このほか、駅は錨で装飾されており、床には風配図が描かれている。駅名の横には、海軍本部の塔にも飾られている船が見える。
駅周辺の見どころ
- エルミタージュ:ペテルブルクの真珠を堪能し、有名な美術館に足を運ぼう
- 聖イサアク大聖堂:円柱の上に上がり、眼下に広がる街を眺めよう
- 海軍本部:有名な海軍本部のそばを歩き、アレクサンドロフスキー広場に行って、宮殿広場が見える景色を楽しもう
- 青銅の騎士:ペテルブルクといえばこれ!この記念碑をバックにした写真撮影を撮ろう
7. プロスペクト・スラヴィ:消防車の展示場
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この駅が開業したのは2019年。デザインのアクセントとなっているのがソビエトの星がついた明るいステンドグラス。ホール全体に長く使われている。白い大理石が多用され、ステンドグラスの赤い星とよくマッチしている。
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しかしもっとも面白いものは上にある。南のホールは消防士たちに捧げられている。天井に巨大なモザイク画が飾られ、通路には消防車が並べられている。最初の消防車、革命前のものから近代的なものまである。
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駅周辺の見どころ
- インターナショナリスト公園:公園を散策し、アフガニスタン戦争で命を落としたレニングラード市民の記憶を追悼しよう
- ゲオルギエフスカヤ教会:ベッドタウンにある教会を見てみよう
- 消防士の英雄公園:煉瓦工場のための粘土を採掘していた人工貯水池であるクプチン採石場を見てみよう