ロシア民話の雌鶏リャーバ、パリ地下鉄に現る
パリ地下鉄のマドレーヌ駅を、一風変わったステンドグラスが彩っている。ロシア民話に登場する、「めんどりリャーバ」である。
雌鶏が産んだ金の卵を、ネズミが割ってしまうお話だ。脆い幸福は大事に守らなければいけない、という教訓である。ロシアでは、子供たちに真っ先に話して聞かせる民話の1つだ。
ステンドグラスはモスクワ地下鉄からパリ地下鉄へ寄贈されたもので、大きさは約40㎡。制作したイワン・ルベンニコフは、モスクワ地下鉄の駅の装飾も手掛けたアーティストである。20枚のパネルで構成されており、ロシア文化を象徴する構図となっている。
「めんどりリャーバ」とともに描かれているのは、サモワール、世界初の人工衛星、十字架を頂く教会のキューポラ、ソ連のシンボル、マレーヴィチの『黒の正方形』など。中央には、重さ80kg 超のタマゴ。
パネルは、グシ=フルスタリヌイ市のガラス工場の職人たちが制作した。
マドレーヌ駅にこのステンドグラスが設置されたのは、2009年。これに先立つ2006年、モスクワの地下鉄キエフスカヤ駅の入口広場が、パリ地下鉄の古い駅をモチーフにしたアール・ヌーヴォー調のデザインで完成した。曲線を活かした柵、タイルや縁石はフランスから運ばれたもので、フランスからモスクワ市民への贈り物だった。